鉄鋼スラグを投入してから8カ月。海藻が生育し、魚が戻ってきた=2008年6月、北海道・函館沖(新日鉄提供) 鉄鋼各社が、製鉄工程で出る副産物「鉄鋼スラグ」を活用し、海中の藻場や森林再生などの事業を強化している。スラグに含まれる鉄分が海藻の生育を促したり、土壌改良などによる生態系回復や二酸化炭素(CO2)削減につながる効果を持つ。スラグはこれまで道路基盤材などに活用するケースが多かったが、公共事業の削減によって新たな用途拡大を迫られている事情もある。自然環境の回復にも利用できるため、各社とも自治体や漁協に売り込み、市場開拓を図っている。 「まさかニシンが戻ってくるとは」 北海道西部の増毛町がわき上がったのは数年前。かつてはニシンの水揚げで活況をみせていた同町だが、沿岸部で海藻が死滅する「磯焼け」が広がったこともあり、20年以上にわたってニシンが姿を消していた。 「豊かな海を取り戻したい」との