新たに入った人材をどう教育・訓練するかは、いつの時代でも組織にとって重大な問題である。もちろん、人材育成は一朝一夕で行えるものではないし、安易な方法に頼るべきではない。しかし、可能ならば、経済的で効率的な訓練・教育を行いたいと考えるのは、組織側としては当然のことだろう。 イラクやアフガニスタンの戦闘が長期化し、大量の新兵を育成しなければならない現在のアメリカ軍では、多くの兵士を効率よく訓練するため、シミュレーターの活用を積極的に進めている。単純で機械的な訓練用シミュレーターは、かなり古くから軍隊で使用されてきたが、近年ではゲームやCGなどのシステムやグラフィック技術などを応用した高度なものが多く開発され、訓練内容を大きく変えようとしている。 今回は、そうした米軍の訓練シミュレーター事情をいくつか紹介してみよう。 軍事用シミュレーターの一大イベント、I/ITSEC 毎年11~12月にフロリダ
「気配」に「殺気」、「気分」と、日本語には「空気」にかかわる言葉が多い。場の空気をキャッチする感性を涵養する文化だといえるが、翻って空気に支配されやすい環境ともいえる。 かつて、作家の山本七平氏は著書『「空気」の研究』などで、日本人の行動原理を「日本教」によるものと定義し、その支配秩序を「空気」が握っていると喝破した。また、政治学者の丸山眞男氏は天皇制を「無責任の体系」と呼び、権力が消失する点を衝いた。これらは空気支配の証といっていいだろう。 「空気」は過去にも論じられていたものだ。だから、ここに来て「KY」(空気が読めない)という語が持ち出されたことに、ある世代より上ならば今更の感を覚えるかもしれない。 しかし、日本人の原則が明らかにされたところで、「空気」の支配力が衰えたわけではない。むしろ、いま改めて「空気」が問題になっているということは、それなりの理由があるものと考えられる。 今回
2006年9月に開始した「U35男子マーケティング図鑑」。その第5回(2006年10月)に登場した「草食男子」が、2年の時を経て各方面で話題を呼んでいる。今、「草食男子」が注目を浴びる理由は何か。連載著者であり、名づけ親である深澤真紀氏にお聞きした。 (聞き手:日経ビジネス オンライン編集委員 大塚 葉 構成:橋中 佐和) ――最近「草食男子」「草食系男子」という言葉がメディアで頻繁に取り上げられていますが、もともと「草食男子」は深澤さんが名づけた言葉でしたね。 深澤 はい。最初に書いたのは、2006年10月です。連載「U35男子マーケティング図鑑」の第5回で「草食男子」を紹介しました。 ――もう2年以上前ですね。 深澤 そうです。だから最近になって「草食」という言葉が注目されて、ちょっとびっくりしています。 ――連載は後に、単行本『平成男子図鑑』 として弊社から発行しましたが、改めて、深
(前回から読む) 寺島 あと、もう1つあえてつけ加えるならば、今回の反省すべき点として、IT革命の成果を最もしたたかに取り込んだ連中が、不幸にして金融だった、ということなんだよね。 ―― ああ、それは鋭い指摘ですね。 寺島 僕は「ITとFTの結婚」ということを言い続けているんだけどさ。ファイナンシャルテクノロジーとしてITを使ってね。デリバティブなんていうのはその典型だよね。オンライン情報ネットワーク技術なかりせば、この世に成立しなかっただろうというビジネスモデルですよ。そういうものがつまり、ITで武装した金融ということになった。理工科系の卒業生が金融というところに吸い込まれることによって…。 ―― 東大でも工学部から大量にカタカナ業種に進みましたね。 寺島 業界の空気がどんどん変わってしまったんだよ。それが問題の元凶になった。 ITとFTの不幸な結婚 寺島 実郎(てらしま・じつろう)氏
世界で通用する日本発のテクノロジとして、頓智・(TonchiDot)が開発を進める「セカイカメラ」が話題になっている。記者も、セカイカメラが初披露されたファッションとデザインの展示会「rooms18」(2009年2月17日~19日、東京・渋谷で開催)を訪れてみた(関連記事:頓智・,「セカイカメラ」を初披露)。だが、プレス向け説明が終わっても、セカイカメラのすごさを感じ取れなかった。その直後に、頓智・社長の井口尊仁氏らと直接話してみるまでは。 セカイカメラ・井口社長がくれた気付き 記者に、セカイカメラやrooms18のことを教えてくれたのは、日経コンピュータのF記者。「Enterprise Platform」サイトにあるコラム、「テクノロジ玉手箱」で紹介したい、という一種の“売り込み”、いや協力の申し出だった。他サイトにあった動画像を見せてくれたり、「こんなことができるんです」とセカイカメラ
ドロップシッピングが物語っていること――商品販売と広告におけるリアリティの変化 2009年1月21日 (これまでの 歌田明弘の「ネットと広告経済の行方」はこちら) バナー広告でも検索連動広告でも、あるいはコンテンツ連動広告でも、クリックして販売サイトにアクセスし、簡単な操作で購入するという仕組みになっているわけだが、これはほんとうに広告だろうか。 アフィリエイト広告の延長上のドロップシッピングというビジネスモデルを見ると、そうした疑問が強く感じられる。 ドロップシッピングというのは、辞書では「直送」などと訳されている。2年半ほど前に「額に汗しないでも儲かる方法」といういささか挑発的なタイトルでこの新手のネットビジネスを紹介したが、要するに、商品を顧客に直接送ってくれる業者を使って販売するビジネスだ。サイト運営者は、アフィリエイト広告をサイトに貼り付ける感覚で、ドロップシッピング業者が提供
派遣切り、限界集落…そこに「共産党」―ルポにっぽん(1/6ページ)2009年1月11日8時38分印刷ソーシャルブックマーク 「切られているのは人間です」と書かれたビラを配る。受け取るとすぐ、歩きながら読み始める人もいた=名古屋市東区、岩下毅撮影「雇用大破壊は、政治が引き起こした『政治災害』だ」。スクリーンには志位委員長の演説が映し出されていた=名古屋市東区、恵原弘太郎撮影共産党に入党したお年寄りの女性は「家の前の畑を作っている時が一番幸せ」と話す=奈良県川上村、高橋純子撮影 「派遣切りは許せません」 1月5日午前8時。三菱電機名古屋製作所(名古屋市東区)前で出勤してくる従業員にビラを配る人の中に、佐藤剛さん(仮名)がいた。 キャバクラ嬢のスカウトや客引きの経験があるというだけあって、声がよく通る。両手をポケットに突っ込んだまま完全無視を決め込む人には少しカチンとくるが、よく考えたら自分も1
先日、苅谷剛彦さんと対談したときに、日本のように「国内に同国語の十分なリテラシーをもつ読者が1億以上」というような市場をもつ国は世界にほとんど存在しない、ということを指摘していただいて、「ほんとにそうだよな」と思ったことがある。 「国内に同国語の十分なリテラシーをもつ読者が一億以上」いるということは、言い換えると、「日本語を解する読者だけを想定して著作や出版をやっていても、飯が食える」ということである。 日本人が「内向き」なのは、要するに「内向きでも飯が食える」からである。 「外向き」じゃないと飯が食えないというのは国内市場が小さすぎるか、制度設計が「外向き」になっているか、どちらかである。 どうしてそんなことを考えたかというと、テレビの政治討論番組で「フィンランドに学ぶ」という特集をしているのを横目で見ていたからである。 フィンランドはノキアという携帯電話のシェア世界一のブランドを有して
■溌剌としているマーケティング界のカリスマ 12月16日付け日経ビジネスオンラインの記事に、マーケティング界のカリスマ、フィリップ・コトラー教授のインタビュー記事が出ている。マーケター諸君、今がチャンスだ:日経ビジネスオンラインタイトルがいい。『マーケター諸君、今がチャンスだ』とある。冒頭の紹介文にもあるとおり、未曾有の世界経済危機だというのに、この人は本当に溌剌として元気がいい。もちろん、ただの空元気ではない。危機はチャンスでもあるというゆるぎない確信がある。 少し前なら考えられなかったビッグチャンスがあちらにもこちらにもゴロゴロと転がっている──。そんな情景が見えていれば、マーケティングの達人と言っていいでしょう。マーケター諸君、今がチャンスだ:日経ビジネスオンライン ■自信喪失している日本のマーケター ただ、周辺にもそういう話をしてみるのだが、意外な程に自信喪失気味で元気がない人が多
わたし的棚ぼた一万円選書 急に千葉さんに手渡された封筒、開けてみたら1万円札が1枚。何ごとかと思えば、同期の出張を代わったお礼をもらったらしい。 「葵はワンオペで育児してくれたから」と半分わけてくれました。 泡銭の1万円 これはもう、わたし的1万円選書をしろという思し召しなのでは……
私なんかは、完全に定着原理主義なんでしょうね。あっ、定着っていうのは、広告を例にすると、プランなりアイデアなりがあって、それが頭の中とか企画書とかにある状態だと、その時点では広告にはなっていないですよね。そのプランなりアイデアなりを、具体的な言葉や絵にして、テレビなり新聞なりに定着して、はじめて広告になりますよね。その具体的な表現のことを定着って言います。 私の定着のベースは、言葉だったりしますが、言葉じゃなくても、絵でも映像でも、まあそれなりに定着のイメージは持てていたりします。クリエイティブという職種は、そういう職業ですから。実際は、そのイメージを伝えながら、アートディレクター、映像ディレクター、プロデューサー、デザイナー、フォトグラファーとともに制作をしていきますが、その過程においては、やはり根拠は、自分の中の定着イメージです。 そういう意味では、私がやる限り、その広告の質は、私の定
コンテンツ分野を総合的に取り扱う新しい学会「コンテンツ学会」が10月11日に設立され、東京秋葉原のコンベンションホールで設立総会およびシンポジウムが開催された。 コンテンツ学会は、メディア環境の変化に伴い関心が集まっているコンテンツ分野の中心的基盤として、諸問題の学術的研究の推進や人材育成、技術開発、ビジネスモデル設計、政策立案などを目的に設立された。産業、政策、技術、表現の4分野を中核領域とし、大学のみに閉じない、産官学が連携したオープンな組織となることを目指している。 会長は一橋大学名誉教授の堀部政男氏。副会長はデジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏、東京大学先端科学技術研究センター教授の玉井克哉氏、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏、スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏が務める。事務局長は慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授の
さっき、楽しみに待っていた雑誌RikaTanが届いた。以下のものだ。 RikaTan (理科の探検) 2008年 10月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 星の環会発売日: 2008/09/26メディア: 雑誌購入: 13人 クリック: 141回この商品を含むブログ (2件) を見る今月号には、田崎晴明さんと田崎真理子さんが「ムペンバ効果」について解説記事を書いていると、田崎さんのHPの9月25日にところに書いてあるので、取り寄せた次第だ。 「ムペンバ効果効果」とは、「お湯と水を冷蔵庫に入れると、お湯のほうが先に凍る」という現象で、古くから知られてはいたらしいが、高校生のムペンバ君が再発見して広まったそうな。これを最近、テレビ番組が取り上げて、有名物理学者がそれに噛みついたので、話題になったのだ。確かに、素人でも、そんなバカな、と直感的に思うだろう。それに対して、田崎晴明大先生が、こういう現
作曲素材としての音楽データを扱っている会社が札幌にある。'95年に伊藤博之氏が設立したクリプトン・フューチャー・メディア(株)は、世界中に取引先を抱え、カナダにもオフィスを構えるという国際派のベンチャー企業だ。 海外にも友人が多いという伊藤氏は、副業として行なっていた音源データ販売が、いつのまにか本職になったという。データそのものを主力商品とする同社について、話を聞いた。 取り扱っている音源データはCD2000枚分! --クリプトン・フューチャー・メディアの業務内容について教えてください 「クリプトンフューチャーメディアは“音”を扱う会社、人々に対して“音の素材”を売る会社です。提供する音源のジャンルは大きく2つに分かれていて、1つはテレビドラマや映画などで使う効果音で、売り先はテレビ局など映像制作会社、ゲームメーカーなどです」 「もうひとつは音楽をコンポーズ(作曲)するための“素材音”。
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米国のティーンエージャー(12~17歳)の4人に3人が、過去12カ月間で少なくとも1度はネットでのいじめを体験しているが、親や教師などにその事実を相談しているのは10人中1人だけ――。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の心理学教授らが10月2日、調査結果を発表した。 ネットでいじめを経験した子供のうち、85%は学校でもいじめに遭っていた。また学校でいじめに遭っている場合、ネットでもいじめに遭う確率がかなり高かった。調査を担当したUCLAのジャーナ・ジュボネン心理学教授は、インターネットは子供たちの学校での友達付き合いと切り離せないとし、ネットでのいじめは学校でのいじめとよく似ているという。 調査は、子供たちに人気のWebサイトで、2005年8月から10月にかけて参加を呼び掛け、協力を申し出たティーンエージャー1454人を対象にWebで無記名で行われた。 調査対象者の41%は過去
宇宙開発とビジネスと民主主義(moderntimes) 宇宙開発と社会との関係を分析。 松浦晋也と鹿野 司の“読書ノート”(裳華房) 裳華房メールマガジンでの書評連載。 日経クロステック著者検索 松浦晋也 日経BPの媒体に書いた2003年以降に書いた技術的記事が読めます。全部ではありません。一部は同社のウェブ媒体リニューアルで消えたままになっています。 日経ビジネス電子版・著者ページ 2015年以降に日経ビジネス電子版に書いた記事は、ここから読むことができます。 介護生活敗戦記 2017年に連載した、認知症を発症した母80歳を自宅介護した記録です。現在連載は、NPO法人「となりのかいご」代表の川内潤さんが受け継いでいます。ここから著書「母さん、ごめん。」が生まれました。 松浦晋也の「モビリティビジョン」 2008年から2011年にかけて「Wireless Wire」で行った乗り物に関する連
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