2021年12月8日、ドイツで社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ新首相が誕生した。緑の党、自由民主党との三者連立政権とはいえ、16年ぶりに中道左派である社民党が与党に復活した形だ。 ショルツは、米国でトランプ大統領が勝利した際に「民主党がなぜ負けたのか」を徹底的に分析し、労働者階級を研究していた。欧州でもポピュリストが台頭するようになっていたからだ。彼がいまのドイツで成し遂げたいこととは──。 約1年前、オラフ・ショルツは米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授とビデオ通話をしていた。当時、ショルツはドイツの次期首相になることは絶望的だと言われていた。そんななか、選挙準備を中断して臨んだ1時間だった。次のテーマについて、政治哲学者であるサンデルと議論を交わしたかったからだ。 「なぜ労働者階級は、中道左派政党ではなくポピュリストの支持に流れているのか」