永守重信[ながもり・しげのぶ] 氏 1944年生まれ。67年職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒。73年に日本電産を創業。社長に就任し、世界一のモーターメーカーに育てた。2014年から会長を兼務。18年6月に会長CEO(最高経営責任者)、21年6月に会長専任となったが、22年4月にCEOへ復帰した。 2023年3月期は上期(22年4~9月期)の連結売上高が過去最高を更新するなど、業績は好調です。ご自身ではどのように評価されていますか。 まあ、私としては不満な結果ですね。本来はもっとよかったはずだと思っていますから。企業というのは、やっぱり業績なんですよ。全ては結果ですから。僕は(1973年に創業して以来)長く(社長、会長、CEO=最高経営責任者=を)やってきて、業績を伸ばしてきました。 2008年秋のリーマン・ショックの時も、赤字になる会社が多い中で黒字を保ちました。赤字な
みずほ銀行では、2021年2月のシステム障害のあと、3月にも3件の障害が発生した。第三者委員会は「問題を抑止・解決するという姿勢が弱い」とみずほの風土を痛烈に批判した。失敗を恐れる体質、心理的安全性が低い組織になぜなってしまったのか。『みずほ、迷走の20年』より抜粋のうえ紹介する。 問題を矮小(わいしょう)化する思考回路 金融当局が指摘した「みずほの闇」は、行政検査で少しずつ浮かび上がりつつあった。なぜ、みずほばかりがシステム障害を起こすのか。より正しく言えば、システム障害が起きても短時間で収束できれば問題は大きくならない。みずほの最大の問題は、軽度なトラブルの原因を根本から解析せず、放置したままさらに大きなトラブルを起こすことにある。 その理由の一つは、隠蔽体質ともいえる不祥事を極めて矮小化して扱う思考回路だ。みずほは21年2月28日の大規模ATM障害の前にも、実は18年に同じようなトラ
楽天は12日、日本郵政や中国のネット大手・騰訊控股(テンセント)などを引き受け手とする第三者割当増資を実施し、2423億円を調達すると発表した。その中で、最大の資金の出し手が日本郵政である。日本郵政は楽天との資本・業務提携に約1500億円を投じ、出資比率は8.32%となる。物流やモバイル、デジタルトランスフォーメーション、金融など幅広い分野で提携を強化するとしている。 ビジネス戦略としてみれば、楽天と日本郵政の資本・業務提携はシナジー効果(相乗効果)を期待して評価することもできよう。「歴史的な提携だ」との自画自賛はともかくとして、大方のメディアはポジティブな反応だ。私もそれを否定するつもりは毛頭ない。 しかしそこには、国民の財産と安全保障に関わる見逃せない深刻な懸念が潜んでいる。 政府過半出資の会社による“資本注入”の異様さ まず、楽天から見れば、今回の提携は歴史的快挙であっても、日本郵政
米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は2021年2月2日、突如退任を発表した。クラウドサービスの米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のCEOであるアンディ・ジャシー氏を後任に指名した。ベゾス氏は今後何を担い、クラウドに続く「アマゾン3.0」はどこに向かうのか、関係者への取材から分析する。 「驚くべき発明は数年後には当たり前になる。業績を見るときは発明の長期的な累積の結果を見ているが、今アマゾンはこれまでになく独創的だ。移行に最適な時期だと考えた」 アマゾンのベゾスCEOは2020年1~12月期の通期決算の公表と同時に、CEOの交代を発表し声明を出した。取締役会にとどまり、エグゼクティブチェア(取締役執行会長)の肩書となる。実際に体制を移行するのは、21年の第3四半期(7~9月)だ。 ベゾス氏は事業の最前線から身を引く一方で、重要な戦略の決定、対外的な慈善活動、
日本航空(JAL)と日本エアシステム(JAS)が経営統合した2002年。JALの社長だった兼子勲さんに、経営統合にある程度めどをつけたら交代した方がいいと何度も進言していました。 JALでは企画畑と営業畑が派閥を作り、主導権を争っていました。企画出身の社長がリゾート事業の失敗などで巨額の損失を出して引責辞任し、急きょ登板したのが兼子さん。傍流の労務畑を歩み、営業でも企画でもないという理由で選ばれて、自ら「ショートリリーフ」と語っていました。 そのリリーフが就任4年でJASとの統合という大仕事をやってしまいます。兼子さんは話していた通り統合から2年で社長の座を譲りましたが、生真面目さからかCEO会長として、統合作業をやり遂げようとします。 しかし、旧派閥はより巨大になった権力への渇望が強くなったようです。ショートリリーフが就任7年目となり、案の定動き出しました。整備ミスなどを材料に政治家らを
ルイ・ヴィトンやディオールなどのブランドを擁する仏LVMHが、米宝飾品ティファニーを買収する。拡大したLVMHの規模の力は、買収ブランドへの業績圧力を弱めて余裕を与えるなど、様々な利点となる。しかし買収できるブランドには限界があり、市場環境も変わりつつある。LVMHは時代の変化に対応できるだろうか。 すべてを持ち合わせている高級ブランドグループに、さらに何を買い足せばいいのか。恐らく、もっと多くのダイヤモンドだろう。 世界の高級品市場で既に最大手である仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは11月25日、米宝飾品のティファニーを買収すると発表した。ウォール街の債券トレーダーが恋人を婚約者に変える可能性を高めるべくお金をつぎ込む、あのティファニーだ。 同社はLVMH傘下に入る76番目の「メゾン」(ブランド)となる。同グループはほかに、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、シャンパンのヴーヴ
大企業で定年まで勤め上げるというかつての常識は薄れつつあるとはいえ、就活生の「大手信仰」は根強く、ベンチャー企業や中小企業の採用は厳しい状況のままだ。 こうした中でも学生の意識に変化は起きている。人材大手のディスコ(東京・文京)が2020年卒の学生を対象に行った調査では、約3割の学生がベンチャー企業への就職に関心を持つと回答。理由として最も多かったのは「企業として独自の強みがある」というもので、「将来性がある」とした学生は、前年より大きく増えた。 ハズレ企業は掲載しない 「『自らに負荷をかけ、力をつけたい』と、優秀な学生がベンチャーに行く流れは確実に起きている」。こう語るのは、ベンチャー企業と学生のマッチング事業を10年以上手掛けるスローガン(東京・港)の伊藤豊社長だ。
財務省などが19年5月に発表した、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく「対内直接投資等に関する業種告示等」の改正告示(8月から適用)が波紋を呼んでいる。 国内ベンチャーファンドなどの有志でつくる任意団体は29日、上記改正告示について懸念を示す異例の声明を出した。改正によって、外国人投資家が対内直接投資をする場合、当局に事前届け出をする対象業種が拡大(財務省・経済産業省・総務省「追加等する業種」)。大半のベンチャーファンドが関わるソフトウエア開発、情報処理サービスなどの事業も対象に含まれることとなったからだ。 「海外から国内へのリスクマネーの呼び込みに冷や水を浴びせることになり、有望なベンチャー企業が倒産してしまう」と悲痛の声が上がっており、ベンチャーファンド業界内で動揺が広がっている。 外為法は、対外取引の正常な発展、日本または国際社会の安全の維持を促すことを目的としている法律だ。今回
日本企業が最先端のエンジニアや研究者の待遇改善に乗り出している。日本では給料や昇進の面では文系優位と言われる。一方、米シリコンバレーなど世界の潮流は理系やエンジニア優位だ。 こうした中、NTTがスター研究者に年1億円の報酬を出すことが明らかになり、話題となっている。7月8日、NTTはシリコンバレーの3つの研究所で先端研究に乗り出すことを披露する式典を開催した。それに先だってインタビューに応じたNTTの澤田純社長は「研究者の報酬は米国現地の水準に合わせていく。日本ではエキスパートでも年収2000万円程度だが、その5倍を超えるケースも出てくるだろう」と明かした。つまりスター研究者には、1億円以上の報酬を出す用意があると言うのだ。 日本の会社員にとっては夢のような金額かもしれない。だが、シリコンバレーのスター中のスターのエンジニアにとって1億円は十分な報酬ではない。 例えば、GAFA(グーグル、
経営難に陥っていたシステム大手のワークスアプリケーションズの再建策が固まった。6月21日、会社分割をした上で、収益源の人事システムなどHR事業を米投資ファンドのベインキャピタルに譲渡すると発表した。譲渡金額は約1000億円とみられる。年明けからの身売り交渉では「買収総額が500億円いけば御の字」(交渉関係者)ともされていただけに、ワークスアプリにとってはまさに「首の皮一枚からの大逆転」となった。 AI(人工知能)を搭載した統合基幹業務システム(ERP)「HUE(ヒュー)」の開発費用や、積極的な人材採用による人件費の増大があだとなり業績悪化が続いていたワークスアプリ。2018年6月期の最終赤字額は170億円に膨らみ、純資産額も30億円ちょっとに減少。債務超過スレスレの「危険水準」に陥っていた。 当初、会社を丸ごと買収してくれる候補を国内外で探したが、収益回復シナリオが見えにくい中で交渉は難航
世界的な大学評価機関の英クアクアレリ・シモンズは6月19日、2020年版の世界大学ランキングを発表した。トップは米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)で、以下、スタンフォード大学、ハーバード大学、英オックスフォード大学、カリフォルニア工科大学の順で続く。例年通り、米国の大学の国際競争力の高さが目立つなか、日本のトップである東京大学は22位と過去最高の順位を記録した。 東大は16年に39位まで落ち、京都大学にも抜かれていたが、17年以降は順位を上げ続けている。アジアではシンガポールや中国の大学の競争力向上が目立ち、日本の大学の地位低下を指摘する声も多い。「意外」にも思える東大の健闘の背景には、学術研究という大学の足腰ともいえる領域の強さがあった。 東大は「学術への評判」のスコアで100点満点を獲得した。満点は世界でもMITやスタンフォード大など8校にとどまる。アジアの大学では唯一だ。15年
「規制緩和どころの話ではない。このままでは事業継続が危うくなる」 新興企業が軒並みおびえている資料がある。金融審議会が5月29日に開催した「金融制度スタディ・グループ」で議論された「『決済』法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告(案)」。ここに致命的な文言を発見したからだ。 業界に激震が走ったのはこの文言だ。 「債権者が一般消費者である場合については、一般消費者が『収納代行』業者の信用リスクを負担することとなる。そのため、こうした『収納代行』については、利用者保護等の観点から、資金移動業として規制の対象とすることが適当であると考えられる」 なぜこの文言に対して新興企業が敏感に反応しているのか。背景にあるのは2010年4月1日に施行された「資金決済法」にある。もともと資金決済法は銀行の独占業務である為替取引を一般企業にも開放する規制緩和の流れで成立した法律だ。 しかし、消費
今回は「個人と社会」について考えてみる。 川崎市多摩区の路上で登校中の児童や保護者らが刃物を持った男に襲われ、2人の大切な命が不条理に奪われた事件で、犯人に対するコメントが物議をかもしている。 「死ぬなら一人で死ねばいい」「死ぬのに人を巻き込むな」といった言葉が、テレビのコメンテーターから、あるいはSNS上で、飛び交ったことに対し、「次の凶行を生まないために、こういった言説をネット上で流布しないでほしい。こういった事件の背後には『社会に対する恨み』を募らせている人がいる場合が多いので、辛いことがあれば、社会は手を差し伸べるし何かしらできることはあるというメッセージが必要」と、貧困などの問題に関わるNPO法人の代表の男性が投稿したのだ。 男性の呼びかけに賛同する人がいた一方で、ネット上では「遺族の気持ちを考えろ!」と激しい批判と反発があふれる事態となった。詳しくはテレビのワイドショーでも取り
ワークスアプリは業務の無駄を省く仕組みづくりに力を入れる企業として知られ、2017年には米調査会社が日本で実施した「働きがいのある会社」で1位に輝いたこともある。ワークスアプリを率いる牧野正幸CEO(最高経営責任者)は文部科学省の中央教育審議会の委員を務めたほか、リクナビの「理想の経営者」で1位に輝いたこともある。 華々しいイメージのある同社だが、業績は振るわなかった。2018年6月期の売上高は452億円と前年より1割減少。加えて年間1000人とも言われた積極的な人材採用で人件費負担も重くなり、最終損益は170億円の赤字(前の期は29億円の最終赤字)と業績は年々悪化している。 この結果、昨年6月末の利益剰余金のマイナス額は325億円にまで膨らみ、純資産の額は32億円まで減少した。さらに日経ビジネスの取材で明らかになった今期の最終損益の見通しは18億円の赤字。純資産の額は一段と小さくなる見込
プロ経営者として知られる前カルビー会長兼CEOの松本晃氏。今年6月にRIZAPグループに移籍したが、10月1日付でCOO職を突然外れた。創業者の意向をくむ幹部と経営方針が対立しており、プロ経営者を生かし切れない日本企業の課題が浮かぶ。 前カルビー会長兼CEO(最高経営責任者)、松本晃氏を経営陣に迎え入れたフィットネス大手、RIZAPグループが、松本氏が示す経営方針を巡って揺れている。10月1日には松本氏のCOO(最高執行責任者)職を外し、代表取締役のまま構造改革担当の“専任”に就けた。 松本氏といえばカルビー会長に就任した2009年6月から退任までの9年間で同社の売上高を2倍近くに伸ばした実力経営者。その手腕を評価したRIZAPグループの創業者、瀬戸健社長が自ら口説き落として招いたばかりだった。だが、改革は進められず、その能力を生かし切れないままになっている。何が起きているのか。 RIZA
2018/11/26 01:56 興味深い考察だと思います。 確かに、国民の大多数は少子化に対する 危機意識がまだ薄いと思います。 国を挙げて、というとおおげさかもしれませんが そのくらいの危機意識を持つ必要があると 痛切に思います。 2018/10/22 07:25 少子化が良いことだなんて、軽はずみに言えますか? 自分が生きていることも先祖代々が生きつないできた結果です。 家系が途絶えても良いとは、軽はずみに言えないと思います。 2018/10/16 17:47 数字から定量的に分析しても納得感がありません。 300人の独身男性に結婚しない理由、できない理由を深く訪ねて定性的に分析してください。 300通りとは言わないが、50通りくらいの理由があり、ここで上げている数種類の理由は 的外れだと思います。 実際、私の周囲の独身男性はこれまでメディアが挙げているような理由にはどれも該当しませ
メルカリ山田進太郎会長兼CEOの連載「Go Boldの生存戦略」。最終回となるLecture(講義)編「自分だけの山を登る」では、起業家としての発想法や心構えを語ってもらった。「普通」を自認する山田氏がフリマアプリ市場を創造した背景にあるものとは。 (本コラムは日経ビジネス本誌の連載「経営教室『反骨のリーダー』」を一部、再編集して掲載しています) 【山田進太郎会長兼CEOの「Go Bold」の生存戦略】 第1回(Life Story):「僕は『天才』じゃない」~野心的経営者の原点 第2回(Lecture):メルカリ山田CEOに学ぶ~見えない壁を壊す魔法 第3回(Lecture):メルカリ山田CEOに学ぶ~起業はとても割に合う 第4回(Lecture):メルカリ山田CEOに学ぶ~自分だけの山を登る ■お知らせ■ 日経ビジネス本誌では、連載「経営教室『反骨のリーダー』」を掲載しています。 Se
1977年9月、愛知県瀬戸市で生まれる。東海中学校・高等学校を経て96年、早稲田大学教育学部に進学。在学中に楽天で「楽天オークション」の立ち上げなどに携わる。大学卒業後の2001年にウノウを創業。04年には1年間の米国生活を経験、帰国後に「まちつく!」などソーシャルゲームでヒットを生む。10年にウノウを米ジンガに譲渡。12年に退職後、世界一周の旅を経て13年メルカリ創業。17年4月から現職。 結論を先に言うと、とにかく優秀なエンジニアを集めて強いエンジニアリングチームを作るということです。シンプルですが、これが重要なポイントです。 メルカリを創業した時も、この点を相当意識しながら、必要な人材を集めていきました。もともとスタートアップ企業を経営していた経験を通じて、「最強のエンジニアリングチームを中心にサービスの基本設計を決めていかなければ、いずれどこかで破綻する」ということを身に染みて感じ
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