ウクライナに対するロシアの侵攻が続き、ウクライナ各地で激しい戦闘が繰り広げられている。ロシアとウクライナが鋭く対立する背景には、どのような要因があるのか。元駐ウクライナ大使で、ウクライナ史に詳しい黒川祐次さん(77)に両国の歴史、国民性などを含め解説してもらった。【聞き手・後藤豪】 プーチン氏の判断「話にならない」 ――なぜロシアのプーチン大統領は、ウクライナに対する全面侵攻に踏み切ったのでしょうか。 ◆プーチン氏だからこそだと思います。ゴルバチョフ(元ソ連大統領)もこんなことはやらないだろうし、エリツィン(元ロシア大統領)もしなかったでしょう。ロシアとウクライナが共存する方法はいくらでもあるんですよ。そうした平和的な手法をとらず、(2014年にウクライナ領の)クリミアを一方的に併合したり、今回のように軍隊を使って攻め込んだりというのは話にならない。 ――プーチン氏はウクライナのゼレンスキ