前回のコラムでは、ドイツの工業製品の信頼性、ブランド力、商品競争力をたたえた。しかしその直後に、ドイツの自動車業界の雄の一角をなすフォルクスワーゲン(VW)が、ディーゼル車において不正ソフトを適用したという前代未聞の大事件が発生し、世界を驚かせ、大きな波紋を呼んでいる。 VWは欧州の自動車市場の25%を握っており、中国市場においても日米欧の自動車各社に先駆けて市場を開拓し、トップクラスの地位を確立している。世界市場においては1000万台超の販売台数をほこり、トヨタ自動車とトップの攻防を繰り広げている。それだけに、深刻な問題となっている。 現在までの調査によれば、不正は最近ではなく、さかのぼること2005年頃の開発に始まり、08年から適用し始めたとのこと。VW乗用車部門のエンジン開発部門が、苦戦していた米国事業を立て直すために、ディーゼル車の排ガス試験の時だけ排ガス量を減らすソフトを適用する