「悲運の後継者逝く」――。2015年8月14日、サムスングループ創業者の長男である李猛熙(イ・メンヒ=1931年生)氏が療養中の北京で死去すると韓国のメディアはこう大きく報じた。一度はグループ後継総帥の座を手にしながら、創業者である父、後継者となった弟との激しい対立劇に翻弄されてしまった。ここにも韓国財閥のオーナー経営の悲哀と過酷な人生があった。 李猛熙氏の遺体は北京からソウル大病院に運ばれ、弔問所が設けられた。韓国の各界の関係者が続々と弔問に訪れた。 「サムスングループのオーナー家の関係者が続々と弔問に訪れる様子を見て、ようやく故人も浮かばれると思った」。韓国の産業界を長年取材してきた韓国メディアの幹部はこう語った。 サムスンオーナー家、葬儀に勢ぞろい 弔問には、サムスングループを創業した李秉喆(イ・ビョンチョル=1910年~1987年)氏の1929年生の長女のほか、すでに死去している次