後味の悪い映画である。映画『FAKE』(森達也監督)。人が悪いといってもよい。否定的にいっているのではない。迷っているなら観たらよいということだから。 ラスト12分間は衝撃だ、口外無用というようなことがいわれているらしい。むろん、そういうプロモーションである。それはそれでありだとして、ぼくは試写ではなくユーロスペースで観たから、そこに縛られる義理もない。ここではそのラストにかんして書こうとおもう。 というのも、ぼくの感じた後味の悪さは、ラストショットに集約されるからだ。電車の走行音やらドアの開閉の音やらケーキやらよく肥えた猫やら佐村河内氏の口太鼓やらその妻のすごく長い髪など、途中のいろんなディテールもおもしろいのだけど、それらについては省く。 なお、本作の背景ないし前提となっている佐村河内氏をめぐる一連の現象については、ぼくはひと通りのことしか知らないし、関心もあんまりない。本作にかんする