岡根谷 実里 / 世界の台所探検家 @m_okaneya フランス料理は知っていても、フランス人が日々何をいつ食べているかって案外知らない。 少なくとも私は、クロックムッシュが昼ごはんだとも、バングラデシュで冷水に浸したご飯を朝ごはんに食べることも、知らなかった。家庭料理って、生活の文脈を知ってこそ活き活きしてくるものだなあと思う。→ pic.twitter.com/0rT0aTHZKJ 2023-08-26 15:06:47
読むたびに思う。ピーター・シンガーの論理はシンプルで、それゆえに強力だ。シンガーの論理に異を唱えようとすると、その反論のほうが小手先の屁理屈のように聞こえてしまう場合も少なくない。そして、シンガーの論理は強力であると同時に、そこから帰結する内容が厳しくもある。シンガーの論理を反駁できないならば、またそれを頭で理解したならば、わたしたちは自らの生き方を変えなければならないはずである。 本書は、哲学者ピーター・シンガーの肉食に関する論考を集めたものである。シンガーは、「動物解放論」の代表的論者であり、1970年頃から菜食主義を実践している。そして、後で紹介するように、その論理によって多くの人たちの生き方を実際に変えてきた人物でもある。 そのタイトルどおり、本書はなぜ肉食を控えるべきかを説いている。シンガーによれば、そのおもな理由は3つある。すなわち、(1) 動物への配慮、(2) 気候変動の問題
シリーズ「環境倫理学のフロンティア」では、環境倫理学の隣接分野の研究者との対話を行います。今回は「環境倫理×動物倫理」として、若手の動物倫理の研究者である久保田さゆりさんと対話を行います。久保田さんは、「動物にたいする倫理的配慮と動物理解」や、「動物にたいする不必要な危害と工場畜産」によって、地に足のついた動物倫理の考え方を多くの人が納得できる形で提示しています。今回は、そこで展開されている議論をふまえて、動物倫理の最新の研究内容と、そのなかでの久保田さんの立ち位置についてお聞きします。 吉永 最初に環境倫理と動物倫理の関係を簡単におさらいします。1970年代にアメリカに登場した環境倫理学のなかで、ピーター・シンガーの「動物の解放」やトム・レーガンの「動物の権利」の議論が紹介され、人間以外の生きものを倫理の中心にすえる「人間非中心主義」の一つの代表として位置づけられた。シンガーやレーガンが
倫理は人間のためだけのものじゃない。畜産、動物実験、ペット、動物園、競馬、介助動物など、いま身近にある動物の境遇を倫理的に問いながら、「種差別」を乗り越え、人間をも対象に含み込む「動物倫理」の構築を目指す入門書。 ●著者紹介 浅野幸治(あさの・こうじ) 1961年 兵庫県に生まれる。 1984年 東北大学文学部卒業。 1989年 東北大学大学院文学研究科哲学専攻博士前期課程修了。 1997年 テキサス大学オースチン校大学院哲学科博士課程修了。 現在 豊田工業大学准教授。哲学博士(テキサス大学オースチン校)。専攻/哲学・倫理学 著書 『 因果・動物・所有──一ノ瀬哲学をめぐる対話』〔共著〕(武蔵野大学出版会,2020 年),『いまを生きるための倫理学』〔共著〕(丸善出版,2019 年),H・スタイナー『権利論──レフト・リバタリアニズム宣言』〔翻訳〕(新教出版社,2016 年),M・ヘ
「雨ニモマケズ・・・」で有名な宮沢賢治(1896-1933)には、実はベジタリアンとしての一面もある。賢治の死後に出版された『ビジテリアン大祭』という短編小説には、世界中から集まった「菜食信者」の祭典に、畜産組合、神学博士などが乗り込んできて菜食主義を批判し、大討論が繰り広げられる様子がコミカルに描かれている。 賢治の時代にはまだ「ビーガン」という言葉はまだなかったが、小説の中では「ビジテリアン」(「ベジタリアン」のこと)の精神を「同情派」と「予防派」の二つに分けている。「同情派」というのは、食べられる動物に対する「かあいそう」という気持ちがその根底にあり、現代でいうならば「アニマルライツ派」に当たるだろう。一方、「予防派」は、動物性食品がリウマチやガンのリスクを高めるとの考えに基づいており、こちらは現代でいうなら「健康派」といったところか。
地域交流牧場全国連絡会(交牧連)は、平成11年の設立から20年の活動を取りまとめた「DFニュース特別版 20周年記念誌」をつくった。同連絡会設立の趣旨や活動内容が分かる。 交牧連は、酪農生産者同士が交流・意見交換する場をつくり。都市生活者や地域住民との交流活動や教育的活動などを進めることで、日本の酪農に対する理解や支援を得ることを目的に平成11年7月に設立。今年で20周年を迎える。(1)全国的なネットワークを活かした相互研鑽や交流、(2)酪農教育ファーム等の社会的貢献活動、(3)酪農後継者と酪農理解者の育成などを行ってきており、現在(令和元年5月)313人の会員を持つ。 記念誌は「仲間とだからできたこと―口蹄疫や震災を乗り越えて、次の世代に繋ぐ―」のタイトルで、これまでの活動や地域ブロックごとの取り組みを紹介。最後に昨年10月、北海道の釧路で開いた「20周年記念式典」で採択した「今後の10
放牧した牛と一緒に山を整備する「山地酪農」を広めようと、昨年、20代で牧場を開いた島崎薫(しまざき・かおる)さん。彼女を山地酪農へと導いたのは、その世界の第一人者・中洞正(なかほら・ただし)さんの著書でした。学生時代から何度も読み直しているというこの本の魅力を、島崎さん自身の歩みとともに紹介してもらいます。 20代の酪農家を導いた一冊 山地酪農は、広い放牧地に牛を放し、自生する野シバなど在来野草を有効活用しながら、山を管理する手段として、提唱された酪農法です。 牛たちは牧場を自由に歩き回りながら野草を食べ、野外で寝起きします。健康的な生活を送りながら、1頭あたり1日約10リットルと、ホルスタインの七分の一~三分の一程度の乳量をストレスなく生み出しながら、約20年の寿命を全うします。 山地酪農でとれる牛乳は、臭みがなく爽やかな甘味が特徴。放牧自体が全体の2%足らずという日本の酪農において、珍
■失敗を教訓に生かすために 牛の脳に無数の穴が開く病気、BSE(牛海綿状脳症)。日本では平成13年に感染牛がみつかり、全頭検査などの対策がとられた。昨年末出版の本書は、日本のBSE問題に関わった政治家、官僚、学者、消費者、米国関係者ら約100人にインタビューし、3年がかりでまとめた大作だ。 「被害が最も大きかった英国では、政府の対応を膨大な報告書にまとめて検証を行っている。日本はどうか。大きなパニックが起こり、経済的被害だけでなく国際問題に発展したにもかかわらず、誰も検証しようとしない。この問題が忘れ去られる前に事実を記録しておく必要があった」 感染牛を見逃す全頭検査は安全対策にならない。しかし、世界中で日本国民だけが「全頭検査こそ牛肉の安全を守る」と信じた。その理由は、検査がBSEを見逃す事実を政府が国民に伝えず、「検査をして安全な牛肉だけを市場に出す」と宣言したことによる。 「意見を聴
カレーライスを一から作る。そう聞けば「ふむふむ、市販のルーを使わずに、スパイスをアレンジするのかな」と、まずは思うのが普通のリアクション。で、隠し味とか一手間とか、なにか工夫やアイディアがあって、と。実際「カレーライスをつくる」「カレーライスを語る」という本は数多ある。なにしろ国民食。美味しく作るために、どれほど多くの人々が、どれほど多くの情熱を傾けてきたことか。 しかしこの本はそうではないのだ。表紙に小さく書いてある「関野吉晴ゼミ」の文字に気づけば、ただのカレーライス本ではないことがわかるだろう。 関野吉晴さんといえば、人類の足跡をたどる旅・グレートジャーニー! 1995年から2002年までフジテレビで不定期放送されていた紀行ドキュメンタリーで、世界中を飛び回っていた探検家である。植村直己冒険賞受賞、人類学者であると同時に外科医でもある。この日本が誇る探検家がカレーライスをどうしたって?
『炎の牛肉教室!(講談社現代新書)』(山本謙治/講談社) いわゆる「肉バル」の登場や全国各地で開かれる「肉フェス」、そして、寝かせてうま味をさらに増した「熟成肉」など、昨今は、さまざまな切り口を駆使した“肉ブーム”が巻き起こっている。 しかし、私たちはどれほど牛肉のことを知っているのだろうか。そんな疑問を投げかける書籍『炎の牛肉教室!(講談社現代新書)』(山本謙治/講談社)が刊行された。農と食のジャーナリストであり、牛のことを知るべくみずから“母牛”を所有するまでに至った著者の主張を読むと、私たちの知らなかった“牛肉の真実”にふれることができる。 ◎美味しい肉の代名詞「A5ランク」の誤解と真実 せっかく食べるなら、少しでも美味しい肉にありつきたいという思いが芽生えるのは当然。お店のメニューでよく見かける「A5ランクの牛肉」という表記は、肉のうまさを見きわめるためによく使われるフレーズだ。
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動物・人間・暴虐史: “飼い貶し”の大罪、世界紛争と資本主義 作者: デビッド・A.ナイバート,David A. Nibert,井上太一出版社/メーカー: 新評論発売日: 2016/07/29メディア: 単行本この商品を含むブログを見る疑問点もいくつか湧くが、指摘/主張としては興味深い一冊だ。 『動物・人間・暴虐史』という書名から、最初『暴力の人類史』的な本を想像していたが、その方向性を"動物と人類"の関係に絞った内容といえる。たとえば人類が牛、羊、豚、馬、山羊といった動物に対して、時代ごとにどんな暴力をふるってきたのかを語る"加害者"としての歴史と、動物たちを飼い貶すことによって人類が自身らに対していかに暴力を生み出してきたのかあたりが主な論点となる。 牛、羊、ぶた、馬、山羊、およびその他の社会性の大型動物を、人間が利用するために捕獲、抑圧する行ないは、シェーラーのいうごとく「人間が発展
ニワトリ無くして、人類無し! もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工食品も含めて、人類にとってますます不可欠な食材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっている。 もし私たちが他の惑星へ移住する時がきたならば、最も重要なタンパク源としてニワトリをまず同行させるだろう。実際、NASAはニワトリが惑星間旅行に耐えられるかどうかの実験をしており、可能と結論づけている。 食材だけではない。インフルエンザの世界的流行を食い止めるのにも、ニワトリは重要な役割を担っている。インフルエンザワクチンを作る入れ物として、卵が使われているのだ。 「宇宙船よりも複雑な構造」を持つ卵
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