●昔話みたくなっちゃうのは嫌なのだが、『悔いあらためて』という80年に出た橋本治と糸井重里の対談の本があって、ふと思い立ってパラパラめくり返してみたのだが、いきなり冒頭からの素晴らしさにガツンとやられたのだった。ここで若き日の橋本治は、自分がいかに社会に上手く適応できないか、他人から理解されないかを語り、それに対し糸井重里は、その話を最大限の愛情とともに理解し受け取りながらも、冷酷ともいうべき的確な答えを返して行く。このやり取りを読むと、ああこれが「友情」なのだなあと泣きそうにさえなる。橋本氏が、子供の頃真剣に何かを話すときまって「屁理屈を言うな」と言われて、何で真剣に話すと屁理屈って怒られるのか分からないままそれを自分のなかに引っ込めてしまったと話すと、糸井氏はそれに対し、屁理屈って言われるのはそれに「反応してくれない人」がいるからで、「反応してくれる友達」がいればそれは「遊び道具」にな