アメリカでコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)へ注目が集まるようになったのは、2000年代後半からである。いったいどのような理由から、CVCへと目が向けられるようになったのか。ベンチャー・キャピタル(VC)が圧倒していた90年代から現在までの変遷を読み解く。 活況に沸くCVC投資 日本でもようやくITセクターにおいて、CVC投資に積極的な動きが出て来たことは前回述べた。しかしながら、この動きは日本でまだ始まったばかりである。 それに比して、米国における現在のCVC投資の活況は、目を見張るものがある。その背景には様々な要因があろう。もちろん、マクロ的な状況の変化もそのなかの一つの動因となっている。また、通常のVC投資の状況の変化にも注意を払わなければいけない。今回はその要因について考えてみたい。 VC投資が圧倒した1990年代 写真を拡大 樋原 伸彦(ひばら・のぶひこ) 早稲田大学