第19回 無知な経済学者・政治家が農民たちを苦しめる! ノンフィクション作家=島村 菜津氏 緑の革命によって破壊されたもの タージ・マハールの一角で夕日を眺める人 (クリックすると拡大した画像が開きます) 環境運動家のヴァンダナ・シヴァは、自身が主宰するナウダンヤ農園のすぐそばにある実家の庭で、インタビューを受けてくれた。 墨色のTシャツに、赤いサリー。デリーの町中で見かけたナーガラジャ神のような丸い顔に、太い眉のはっきりとした顔立ち。かすかにインドなまりの残る、イギリス仕込みの流暢な英語。話に熱がこもると、大きな目がさらにぎらりと見開く。 シヴァは、緑の革命を批判した自著『緑の革命とその暴力』(日本経済評論社)の中で、こう書いている。 「緑の革命がなければ、飢えに見舞われるということは、一九六〇年において真実ではなかったが、一九九〇年代においても、バイオテクノロジーと遺伝