前回は,事例2について,Z1社とZ2との法律関係を,職務著作という視点から検討しました。今回は,Z1社にプログラムに関する権利が帰属しているという前提で,プログラムと仕様書の一切の権利をX社に帰属させるためには,どのような処理が必要であるかという点について言及したいと思います。 プログラムに関しては,少なくとも,Z1社からY社,Y社からX社への2度の著作権譲渡が必要ですし,仕様書については,X社も関与していることから,X社とY社のいずれに帰属しているのかを検討した上,X社に帰属させるための措置を講じる必要があります。ここで,Z1社からY社へのプログラムに関する権利の譲渡と,Y社からX社へのプログラムの権利に関する譲渡についての留意事項は同じです。 したがって,Y社とX社における,プログラムと仕様書に関する権利についての法律関係を中心に検討しようと思います。 1. 著作権法第27条と第28条