〈建前は志願制の特攻だが実態は程遠い。爆弾だけを落とし生還する青年は露骨に「次こそ死ね」と言われるが、理不尽な作戦への抵抗を続ける。〉 〈大学の運動部でボールを追う技を磨いた若者が「相手をつぶせ」と命じられた。練習を干し自ら反則するよう大人が追い込んだ節もある。〉 2018年5月25日付の日本経済新聞コラム「春秋」は、戦時中の特攻兵と、日大アメフト部問題との関連・類似性を鋭く指摘していた。 戦後73年たった今でも、この国の組織の至るところで強力な「同調圧力」が存在するのではないか。理不尽なことを部下に押しつけたまま、責任を取らない上司がたくさんいるのではないか――『不死身の特攻兵』を著した鴻上尚史氏が2017年11月に執筆した下記の論考をもとにあらためてふりかえってみたい。 この人の生涯を伝えたかった ありがたいことに、『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』は発売2週間で4刷りが決