下水の処理過程で発生する汚泥から、農業用肥料になる物質「リン」を収集し、再利用する取り組みが、東京都内で始まった。下水処理水に含まれるリンは東京湾で赤潮の発生要因の一つとされており、削減は必須。加えて肥料原料の多くを輸入に頼る日本にとって、肥料としての再利用は食料安全保障上も重要な取り組みで、都は全国への普及も狙う。 効率的な回収「水環境への貢献として、以前からリンの削減に取り組んできた。本日を新たなスタートとして下水汚泥資源の肥料利用に取り組んでいく」 今年1月、都下水道局の砂町水再生センター(江東区新砂)で行われた実証研究施設の完成式に出席した佐々木健局長は、こうあいさつした。 新たに設置されたリン回収システムは、センター内の沈殿池に運ばれた下水から抽出した汚泥を濃縮・脱水する過程で生じた脱水分離液を回収槽に収容。吸着性の高い回収資材を自動制御で投入した上で脱水機や乾燥機にかけ、効率的