紙が、ない。 少し焦っていた。 8時には出発しないと間に合わない仕事があるのに、もう7時55分。 しかも自分の家ではなく、とある知人の寺院のトイレの中にいる。 出そうで出ないという難敵と格闘した末に、どうにか出すことができたところだ。 登山では、準備段階における排便の有無が死活問題に直結するという笑い話のような笑えない話を聞いたことがあるが、何も排便の有無は登山時のみ重要となるわけではない。 日常生活においても、朝、出発前にきちんと排便できていると気持ちがスッキリする。さあ、これで心置きなく全力投球できるぞという気持ちになる。 そういう意味では、今日のスタートは良好であると言えた。 難敵ではあったものの、最後には倒すことができたのだから。 ウォシュレット機能を備えた見るからに最新の便器だったので、「おしり」と書かれたボタンを押したのが10秒ほど前のこと。 私はここで自分が「ある問題」に直面