● 大阪の魔境 あいりん地区 かつては釜ヶ崎とよばれ、いまは、あいりん地区とよばれるドヤ街が大阪・西成にある。 その中心にある三角公園から北東方向を撮影したのが本書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』表紙の写真だ。右奥にひときわ高くそびえているのが地上300メートル、日本一の高さを誇るビル「あべのハルカス」。左側に壁のように見えるが大阪市立大学医学部附属病院、そのすぐ向こう側は大阪市立天王寺動物園である。 土地勘のない人にもわかってもらえるだろう。あいりん地区は多くの市民が憩う場所から目と鼻の先にある街だ。しかし、大阪市民の多くは、その名を知っていても、足を踏み入れたことはないはずだ。わたしもその一人である。この本を読めばわかる、ここは大阪の魔境なのだ。 東京でいえば山谷にあたるのだろうか。しかし、筑波大学を7年かけて卒業し、就職しそこねたライター志望の國友クンは、東京からわざわざ西成へ取材
● 「簡易個室」の公認が激変させる 人生100年時代のイメージ 生活保護に関する現在進行形の最大の課題は、2018年10月1日に施行されたばかりの改正生活保護法、そして生活保護世帯の70%に対する保護費引き下げだろう。それらの影響が少しずつ現れ始めたばかりの11月5日、厚労省は「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」を開始した。「社会福祉住居施設」とは、いわゆる無料低額宿泊所のことだ。厚労省の資料には、「社会福祉住居施設(無料低額宿泊所)」と表記されている。無料低額宿泊所は、住居がない人々の一時的な住居だったのだが、近年は事実上の「定住」に近い使用形態が多い。 検討会は、この現実を踏まえて開催されているのだが、特に注目されていない。目的は、今年6月に再改正された生活保護法や関連法案を施行するための厚労省令・施行規則・通知・通達などを定めることである。一見、
超金融緩和がもたらすカネ余りを背景に、巨額の投資マネーが怪しげな企業に流れ込む。フェイクで強欲な奴らがバブル再来を謳歌する一方、貧困層は増大し、経済格差は広がるばかり。そのうえ忖度独裁国家と化したこの国では、大企業や権力者の不正にも捜査のメスが入らない──。 そんな日本のゆがんだ現状に鉄槌を下す、痛快経済エンターテインメント小説が誕生! その名も『特捜投資家』。特別にその本文の一部を公開します! 第5章 ワルの錬金術(3) [前回まで]フリージャーナリストの有馬浩介は、謎の投資家・城隆一郎の依頼でベンチャー企業「ミラクルモーターズ」の調査を開始した。壮大な経営ビジョン語る同社トップ黒崎宏に魅了され有馬は高評価のレポートを提出。しかし城はそのレポートを破り捨て黒崎を詐欺師であるとし、さらに彼の背後には黒幕が存在することを匂わせる──。 *** 辣腕のプロ経営者、和製イーロン・マスク、革命家。
2万人が集まったというベートーヴェンの葬儀。それは、若き作曲家たちが創意工夫し発展させる「ロマン派」の船出でもありました。長距離鉄道の発展により、モーツァルトのように何日もかけて馬車で移動する必要もなくなり、マスコミも発展して音楽批評が誕生するなど、音楽家を取り巻く環境にも変化が生まれていきます。大きな歴史のうねりは音楽の世界にも押し寄せていたのです。書籍『クラシック音楽全史 ビジネスに効く世界の教養』から、ロマン派の夜明けについて一部ご紹介していきます。 1827年3月26日、ベートーヴェンはウィーンで56年の生涯に幕を閉じました。 その3日後に執り行われた葬儀では、遺体が4頭立ての霊柩馬車に移されると、その後に参列者を乗せた200台の馬車が続き、ヴェーリング墓地まで、集まった人の数は沿道の人々を合わせると2万人に上ったといいます(※1)。参列者の中には、翌年ベートーヴェンを追いかけるよ
消費者の関心が「所有」から「利用」へと移行しつつあるなか、急成長をとげているのがサブスクリプション企業だ。音楽・動画配信などで日本でも知られるようになったこのモデルが、なぜ伸びているのか。最新刊『サブスクリプション』(ティエン・ツォ著)の本文から一部抜粋してお送りする。 ● 永遠のベータ版にとどまれ! SaaSサービスを開始したソフトウェア企業には興味深いことが起こる。ユーザー登録を初めて受け付けたメディア企業にも、顧客の購買記録を追跡し始めた小売企業にも、やはり興味深いことが起こる。突然、顧客が何をしているかが見え始めるのだ! 顧客の動きを示すデータが画面に初めて表示されたときには、得も言われぬ気持ちになる。私自身、セールスフォースで体験したその瞬間のことをいまでもよく覚えている。私たちはすぐに、もっと多くの情報が欲しいと思うようになり、そのことが私たちの意思決定の方法を変え、リソースの
マーケティング職としてキャリアと年収を高める最初のタイミングは、アラサーでやってきます。では、このタイミングで自分を高く売るには、どうすればよいのでしょうか? そのポイントについて、書籍『マーケティングの仕事と年収のリアル』から、一部抜粋してご紹介していきます。 本連載で、マーケティング職としてキャリアと年収を高めるうえで、意識しておきたい、成長ステージの6段階や働く場について触れてきました。また、キャリアと年収を高める最初のタイミングは、アラサ―前後でやってきます。このタイミングで自分を高く売るには、どうすればいいと思いますか? シンプルに言えば、給与水準が高い大手広告代理店や事業会社が「今後も重要と考え、内製化したいと考えているマーケティング施策領域のスペシャリスト」になっていることです。 企業が内製化を指向し、採用するマーケティングのスペシャリスト領域には2つあります。 ひとつは、特
新卒採用において、企業が大学名でふるいをかけて選考する「学歴フィルター」。就活中の大学生の間ではよく聞かれるワードだ。たびたびネットで炎上したことにより、企業も人物重視に方針転換するとうたっていたはずだが、近年になって再び学歴重視に回帰しているという。20年以上にわたって、就活業界で学生の指導に取り組み、著書『学歴フィルター』(小学館新書)がある福島直樹氏に詳しい話を聞いた。(清談社 福田晃広) ● 低偏差値大学出身だと 会社説明会すら受けられないことも 「学歴フィルター」が就活生の間でうわさになり始めたのは2010年前後から。その後、2015年に、ゆうちょ銀行の会社説明会(セミナー)において、中堅大学の就活生によってツイッターに投稿された申し込み画面の写真2枚が物議を醸した。 その男子学生がアップした1枚目の写真は、自分の所属する大学名で申し込もうとすると、画面が「満席」と表示されてしま
● 日本企業で行われる 会議のパフォーマンスとは? 長時間労働や労働生産性について議論する際、しばしば指摘されるのが、「会議、打ち合わせの多さ」です。実感として、会議を1日に4回、5回と繰り返すと、ほとんど会議をするために仕事をしているような感覚に陥ります。 では、日本企業において会議はどれくらい開かれているのでしょうか。そしてそれは、どれくらいパフォーマンスに寄与しているのでしょうか。パーソル総合研究所では、立教大学・中原淳教授と共に、長時間労働についての大規模調査を行っています。今回は、その調査結果から会議にまつわる分析について見てみましょう。 会議量は役職によって大きく異なり、全体の平均時間を出してもあまり役に立ちません。我々の調査結果から、役職別の年間の社内会議・打ち合わせの時間を推計しました。 この時間に、顧客・クライアントなどの社外関係者との打ち合わせは入っていません。メンバー
前回の『トランプの「中国潰し」に世界が巻き添え、貿易戦争は覇権争奪戦だ』では、米中貿易戦争が覇権争奪戦に転化していることを指摘した。米国は、中国のウイグル人迫害を非難し始め、人民解放軍を制裁し、台湾への軍事支援を強化している。中国は、GDPでも軍事費でも世界2位の大国だ。しかし、この「戦争」で米国には勝てないだろう。その理由を3つ挙げる。(国際関係アナリスト 北野幸伯) ● <第1の理由> 中国経済が悪化し続けるのは必然だ まず第1に、中国経済が悪化していくのは必然であることが挙げられる。これは、米中貿易戦争が始まらなくても、そうなる方向だった。どういうことか。 中国のGDP成長率を見てみよう。2008年9.6%、2009年9.2%、2010年10.61%、2011年9.5%。この国は、2008年に起きたリーマンショックの影響が皆無であるかのような成長を続けていた。 ところがその後を見ると
政府は、外国人労働者の受け入れを拡大するため、新しい在留資格を作る出入国管理法の改正案を閣議決定した。 これは、外国人労働に対する政策の大きな転換だと言われる。 しかし、人手不足緩和を出稼ぎ外国人労働者に依存するのでは、限界がある。将来の労働力不足からすると、本格的な受け入れ体制が必要だ。これは、国際的な比較からも確かめられる。 最終的な問題は、永住移民を認めるかどうかだ。日本社会の構造を変える重大な問題であるからこそ、十分な議論と周到な準備が必要だ。 ● 急増する外国人労働者 この4年間で約8割増 まず、「外国人労働者」とは何かを整理しておこう。 厚労省によると、外国人労働者は、主としてつぎの4つのカテゴリに分類される。 (1)身分に基づく在留資格 (2)資格外活動 (3)技能実習 (4)専門的・技術的分野の在留資格 これら4つのカテゴリとその他を含めて合計すると、2017年で約128万
一部で「移民政策」ともいわれている入管法改正案が成立しそうだが、この政策は後世に計り知れない悪影響を与えかねない。実は100年前の日本でも同様の事態は発生しており、それは今日にまで在日朝鮮人差別問題として尾を引いている。(ノンフィクションライター 窪田順生) ● 「移民政策」は日本の労働者にも 百害あって一利なし 安倍首相が頑なに「移民政策」と認めない「外国人労働者の受け入れ拡大」を目的とした出入国管理法改正案が、なし崩し的に成立しそうだ。 誰も投獄されていない特定秘密保護法や、物証のない首相の口利き疑惑の時は、この世の終わりのように大騒ぎするマスコミや野党も、驚くほどあっさりとした批判で終わっているからだ。 だが、この政策は我々の子どもや孫の世代に、計り知れない悪影響を与える可能性が高い。 前々回(『安倍政権の「移民政策」、実現なら日本の若者の賃金は上がらない』)も指摘したが、現在の日本
超高齢社会の日本では、2065年には約3.9人に1人が75歳以上になるという。そんな日本の姿を反映するように、公共図書館には高齢者の姿が目立つようになり、今までなら考えられないようなトラブルが起こっている。 ● 公共図書館は 終日無料の高齢者施設? 今年6月に内閣府が発表した「平成30年版高齢社会白書」によると、2016年の平均寿命は男性80.98年、女性87.14年で、総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は27.7%だった。全人口のうち、65歳以上の割合が21%を超えると超高齢社会と呼ぶが、日本は2010年に、すでにその段階に突入。現在は、世界で一番高齢化率の高い国である。 そんな現実をリアルに感じる場所はある。高齢者の利用者が増加している公共図書館だ。10月30日から11月1日にかけてパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された、第20回図書館総合展のフォーラムの1つ、「人
ボールペンなのに、付属の専用ラバーでこすると、気持ちが良いほど消える。その上、消しカスも出ない──。 俗に“消せるボールペン”と呼ばれている「フリクションボール」。専用ラバーに何か仕掛けがあるのかと思いきや、その秘密はインクにある。 「フリクションインキ」は、消す動作によって生じる摩擦熱によってインクの組成を変え、色が消える仕組みになっている。目には見えないが、紙の上にはインクの成分が残っているのだ。 フリクションボールの開発が始まったのは2003年。色が消えるメカニズムだけを聞くと単純なようだが、開発プロジェクトリーダーを任された千賀邦行によると、フリクションインキが筆記具として製品化されるまで実に30年の年月がかかっている。 フリクションインキのルーツは、後にパイロットインキの社長となる中筋憲一が1975年に発明した「メタモカラー」という熱変色性のインクだ。 気温により色が変わる紅葉か
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