『父親たちの星条旗』70点(100点満点中) イーストウッドらしい、静かでセンスのいい戦争映画 日米が戦ったあの戦争の中で、もっとも重要かつ激戦だった戦場のひとつに、硫黄島の戦いがある。第二次大戦を通して、米軍側の勲章のほとんどがこの戦闘の功労者に与えられたことからもわかるとおり、硫黄島は両国にとって重要な戦略拠点であった。 映画の中でも説明されているが、簡単にいうと日本にとっての硫黄島は、本土爆撃に向かう米軍側長距離爆撃機に対する警戒基地の役割を果たしていた。このおかげで日本軍は、本土で十分な迎撃・避難体制をとることができていたのだ。ところが硫黄島が落ちてからは、この場所が米軍の重要な補給、そして爆撃機を護衛する戦闘機の基地となり、日本本土はみるみる焼け野原と化していった。 この戦いを、二部作として描くことを決めたのが、いまや米国を代表する巨匠クリント・イーストウッド(「ミリオンダラー・