家畜改良事業団は5日、同団が繋養(けいよう)する黒毛和種の種雄牛「福之姫」が2日に急性心不全で急死したと発表した。10歳10カ月だった。「福之姫」は増体能力の高さと抜群の枝肉成績で全国を席巻するスーパー種雄牛だった。産子は各市場の子牛取引価格をけん引し、全国規模の枝肉共励会でも好成績を収める。同団は「現時点の需要に応えられるだけの精液の在庫はない状況」としている。 「福之姫」は栃木県大田原市生まれで、父「芳之国」、母の父「勝忠平」の血統。2022年度末までの精液の販売量は37万9000本弱で、現役の種雄牛の中でも全国トップクラスという。 同団は「前兆もなく、直前まで元気に過ごしていた。正直早過ぎるが、優秀な後継牛が選抜されているのが唯一の救い」と話す。現役エースの早過ぎる死に、業界には動揺が広がる。 「福之姫」を輩出した大田原市の繁殖農家・川上偉功さん(62)は「種雄牛として活躍できるよう