来月で77歳、喜寿を迎える父がいる。 父はピアノの調律師というちょっとめずらしい仕事をしており、 調律の専門学校で講師も長年勤めていた。 普段は優しく、頑固なところもあるが、私達姉妹を育ててもらって感謝している。 引退した今では、孫に囲まれて幸せそうでもある。 そんな父の趣味がクルマの運転である。 若い頃から、スカイラインGTRだの、セリカだのを乗り回していて 喜んでいたのをよく覚えている。 父は元来、聴力はもちろん、目もよく、反射神経も人一倍よかったので、 「自分は絶対に交通事故を起こさない」 という根拠のない自信を持っている。 これが災いを招きそうになっている。 ようは、年もとり、もうろくしているのに、 自分だけは「まだまだ若い者には負けない」と思っているのだ。 事実、今までクルマをぶつけるなんてことはなかったのに、 今乗っている、クルマには擦り傷もあり恥ずかしい。 「死ぬ前に運転をや