甲子園にはしょっちゅう来てるよ。プロの試合を見に。解説者は標準語やないとあかんと思って、最初はやってみた。あかんわ。標準語に“翻訳”するんに時間がかかる。プロデューサーが「大阪弁でよろしいがな」って言ってくれて、気が楽になったわなあ。 花咲徳栄の千丸君は身長165センチ。僕も170センチないから、親近感わくわ。三回表の打席で、右へ大ファウル。腰からクイッと回って、コンパクトにスイング。チビでもこうやって打ったら飛ぶねん。僕は通算2543安打のうちホームランが208本。これが一番の自慢ですわ。盗塁はおまけみたいなもん。チビでもバットの芯に当てれば飛ぶ。野球は力やないことの証明や。それがうれしい。 甲子園にはね、忘れられへん思い出がある。僕は大鉄高校3年の夏に出たんです。1番センターでした。1回戦の相手は秋田。3―3の延長十三回裏、向こうの攻撃や。ツーアウト三塁で、打球はフラフラと二塁ベース後