土佐昌樹「アジア海賊版文化──『辺境』から見るアメリカ化の現実」の第2章,第3章は面白かったです。 軍事独裁が続くビルマ(ミャンマー)では,外国放送局による衛星放送の域外受信と,外国映画の海賊版VCDおよびDVDこそが,市民にグローバルな文化を届ける数少ない手段となっている事実。イギリス植民地時代に作られたイギリス著作権法とほぼ同様のビルマ著作権を可能な限り完全実行せよと西側先進国がビルマ政府に迫ることは,軍事独裁政権による情報統制をさらに強めることになるという現実。このような極端な実例こそが,著作権法が情報統制の為のツールという側面を本来的に有することを私たちに改めて思い起こさせます。 もちろん,理論的にはビルマ国民が正規商品を購入すれば政府から著作権法違反を理由とする統制を受けずに済むといえなくもありません。しかし,DVD等の正規商品は,その国の,一般大衆の購買力に応じた値付けがなされ