収まる気配のない新型コロナウイルス禍が、人々の生活に深刻な影を落としている。コロナ関連の解雇や雇い止めは10万人を超え、倒産は1400件に。困窮者支援団体の食品配布に並ぶ人の列は長くなる一方だ。ネットカフェ暮らしで心のバランスを崩す人、食事も十分に取れない人…。憲法25条は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利をうたう。支援団体の関係者は「実態を伴った生存権が保障されるべきだ」と訴える。(中村真暁)
「気がつくと、所持金は103円でした。4日の仕事始めに出勤する電車賃もなくなっていました」。短大卒業後、非正規雇用で働いてきた女性(42)は突然、自分とは関係ないと思っていた「リアルな貧困」に直面した。給料が安くても仕事を絶やさずにやってきた。でも40代になるとバイトの面接にすらなかなか呼ばれなくなってしまった。家賃の引き落とし日が迫るのが怖くて仕方がなくなった。「真面目に生きていきたいだけです。どうしてこんなことになったのでしょう?」。女性に声をかけると、こう聞き返してきた。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】 夕暮れ時、人影が少なくなった会場を出ようとした女性が支援スタッフの男性から声をかけられていた。「野菜もあるよ、あ、ガスが止まってるんだったね」。女性ははきはきした声でお礼を伝えていた。記者と同世代に見えた。1月3日、東京都千代田区の聖イグナチオ教会で開催された「年越し大人食堂
就職につまずき、リーマン・ショックや派遣切りなど受難の道を歩いてきた。その就職氷河期世代が、アラフォーを迎えている。「失われた世代」とも呼ばれる彼らが直面する現実は──。 続きを読む
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