催眠鎮静剤サリドマイドが胎児の手足に重い障害を引き起こす仕組みを、東京工業大学の半田宏教授などの研究チームが突き止めた。 副作用のない新薬開発への応用が期待される。12日付の米科学誌サイエンスに発表される。 研究チームは小型熱帯魚の受精卵にサリドマイドを投与し、胸びれの発達異常が起きることを確認した上で、細胞内のサリドマイドを磁性を帯びた微粒子で取り出した。その結果、サリドマイドにはセレブロンというたんぱく質が結合していることが分かった。 セレブロンがサリドマイドと結合しないよう遺伝子を操作したところ、サリドマイドを投与しても胸びれは生えた。鶏卵を使った実験でも同じ結果を得ており、サリドマイドが胎児期の手足の形成に不可欠なセレブロンの働きを阻害していると結論づけた。