調査対象種のひとつ「ノシメトンボ」=国立環境研究所提供 全国各地でトンボを捕まえて、化学物質による汚染の広がりを調べる「トンボ調査」を、国立環境研究所が計画している。北海道から沖縄まで28カ所の環境研究機関が参加するほか、ホームページなどを通じて一般市民にも採集への協力を呼びかけ、多くのトンボを分析したいという。 計画しているのは国立環境研究所の柴田康行・化学環境研究領域長、吉兼光葉ポスドクフェローらのチーム。調べる化学物質は分解しにくい有機フッ素化合物「PFOS」だ。 PFOSは衣類などが水をはじく表面加工や、泡状の消火剤の原料に使われてきた。しかし近年、動物実験で肝臓障害を起こすなどの有害性が指摘され、2009年5月に開かれた残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の締約国会議で、規制対象にすることが決まった。 研究チームはカマキリやトンボ、クモにこの物質が蓄積されやすいこ