「DEVILMAN crybaby」(以下、「crybaby」)は原作やそのほか派生した全ての「デビルマン」と真逆のスタンスで作られており、最初違和感で戸惑う。だがやがて非常に現実的な舞台であることがわかり、原作のハルマゲドンの高揚感は再現できていないながらも、結末でまったく別の価値を示したアニメだ。 今作ははじめて永井豪が少年マガジンで連載された漫画版を原作としたことで、公開前から注目を集めた。40年以上も経ったいま、エログロはもちろん終盤の限界を超えた展開をどれぐらい現代の視点でアニメにできるのか、漫画版を読んだ誰もが思うからだ。 本作のデビルマンは、状況に対して意外にも受け身な印象が強い。 「crybaby」では確かにエログロの表現の期待に存分に応えている。原作の筋書きも丁寧になぞっている。にもかかわらず実際には原作を読んでいるときの体験とはまったく違っている。それは原作の体験を強化