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  • 『宇宙からのメッセージ』 面白さの秘密

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 どうしてこんなに面白いんだろう! 昔は好きだった作品なのに、今ではショボく感じてしまうことがしばしばある。だが、久しぶりに観た『宇宙からのメッセージ』は、はじめて観たときのままに――否、記憶していたものよりはるかに面白く、それどころか昔観たときは判らなかった良さを痛感して、これまで以上に感動した。日映画界はこんなにも素晴らしい作品を生んでいたのだ。 ■誰が誰のフォロワーなのか 『宇宙からのメッセージ』は1978年4月29日に公開された。この年のゴールデンウィークの大作映画だ。前年に米国で大ブームを巻き起こした『スター・ウォーズ』(エピソード4『新たなる希望』)が同年夏に日に上陸することになった。そこで「SF元年

    『宇宙からのメッセージ』 面白さの秘密
  • 『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』には脱帽だ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 『猿の惑星』シリーズのリブート第一作『猿の惑星:創世記』(2011年)に、私はいささかの不満があった。旧シリーズに濃厚だった人種差別や人権問題を重視する姿勢が、リブート版からはあまり感じられなかったのだ(詳しくは「『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』に欠けているもの」を参照されたい)。 代わって『創世記』が強調したのは、自然破壊の問題であり、科学技術に依存することへの批判だった。猿たちは虐げられた人種や民族のメタファーというよりも、人間のエゴイズム――自然破壊の犠牲者として描かれた。 それはそれで重要な観点だが、何も『猿の惑星』シリーズでやらなくてもいいのではないか。人種差別や人権問題への目配りができなくては、旧シリ

    『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』には脱帽だ
  • 『アングリーバード』 アメリカ対アメリカ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 今どき『アングリーバード』ほど凶暴な映画は珍しいのではないだろうか。 原題『ANGRY BIRDS』を50年代っぽく訳せば「怒れる鳥たち」となるだろうが、50年代の「怒れる若者たち」の怒りが社会に向けられていたのに対して、作の鳥たちの怒りは他国に向いている。映画『アングリーバード』は、一見するととんでもない戦争万歳映画なのだ。 『アングリーバード』の内容を簡単に紹介すれば、単一の民族だけで平和に暮らしていた国が、外国の他民族に略奪されて怒り出し、相手国まで遠征して戦争する話だ。 それでいいの?と云いたくなるほど、今どきの映画とは逆の展開だ。 大人向けの映画なら判らなくもない。個人的な復讐話はアクション映画等の定番

    『アングリーバード』 アメリカ対アメリカ
    s_atom11
    s_atom11 2016/10/24
    アメリカの負の側面とアメリカの負の側面が激突するそんな作品になってるのか。すげえな
  • 『シン・ゴジラ』 ゴジラの正体

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 前々回、前回とガメラについて述べてきたのは、ゴジラを語るためでもあった。東宝のゴジラ映画第29作となる『シン・ゴジラ』が、おそらくゴジラ映画史を覆す傑作だろうと思われたからだ。ガメラシリーズの変遷を振り返ることで、ゴジラシリーズの特徴も浮き彫りになり、その結果『シン・ゴジラ』の位置付けも明らかになると考えたのだ。 ■世にも奇妙なゴジラシリーズ 私もゴジラシリーズは大好きだ。『キングコング対ゴジラ』の日米頂上決戦に痺れ、『モスラ対ゴジラ』の不良ゴジラに魅了され、『怪獣大戦争』のストーリーテリングの巧みさに唸ったものだ。一般的な評価は高くないかもしれないが、『ゴジラ対メガロ』だってジェットジャガーのかっこよさと相まって

    『シン・ゴジラ』 ゴジラの正体
  • 『ガメラ2 レギオン襲来』が最高峰なわけ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 (前回「『ガメラ 大怪獣空中決戦』の衝撃とゴジラシリーズ」から読む) 2016年7月13日、1996年の『ガメラ2 レギオン襲来』封切からちょうど20年目のこの日に、関係者の方々のお話[*]を伺うとともにこの映画を鑑賞できたのは無上の喜びだ。 『ガメラ2 レギオン襲来』の完成度の高さといったらない。乏しい映画体験でこんなことを書くのは恐縮だが、これぞ日SF映画の最高峰、怪獣映画の金字塔だと思う。 全体的な作りはミステリーに近い。小松左京著『継ぐのは誰か?』やアイザック・アシモフ著『永遠の終わり』を持ち出すまでもなく、ミステリーとSFは相性が良い。だが、ミステリーの枠組みを活かし、なおかつSFで実写映画でとなると、これほど成功した例

    『ガメラ2 レギオン襲来』が最高峰なわけ
  • 『ガメラ 大怪獣空中決戦』の衝撃とゴジラシリーズ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 怪獣映画を観ると心が洗われる。いい映画を観ると、ではない。怪獣映画ならではの効能と云うか、怪獣映画を観たあとの清しさには一種独特のものがある。 それをとりわけ強く感じるのが『ガメラ 大怪獣空中決戦』だ。この映画の持つ力強さ、感動、カタルシスは、ちょっと他では味わえない。 この映画の魅力はたくさんあるが、公開時に一番驚いたのは仰ぎ見る映像の多さだった。怪獣は見上げるほど大きい存在なのに、それまでの怪獣映画ではスタジオに作ったミニチュアのセットをのしのし歩くパターンが多く、天井が映り込んでしまうためかカメラが上に向けられることはほとんどない……と思っていたら、この映画は見上げるショットの連発だった。ギャオスもガメラも人間の目の高さから見

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  • 『小さいおうち』 原作を離れて「失敗作」を撮る理由

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 山田洋次監督の『小さいおうち』を鑑賞して、こんなことがあるのかと驚いた。 作は中島京子氏の小説に基づいて山田洋次監督と平松恵美子氏が脚を書き、山田洋次監督みずからメガホンを取った作品だ。決して山田洋次監督のオリジナル企画ではない。 にもかかわらず、山田洋次監督と原作のシンクロぶりはどうだろう。私はこれが山田洋次監督のオリジナル作品と云われたら信じたに違いない。 それほど、作は山田洋次監督が撮るべくして撮った映画であり、『東京家族』の次はこれしかないと思わせる映画だった。 それどころか、『東京家族』は作を撮るための習作だったのではないかと思えるほど、作は『東京家族』の延長上に(しかも『東京家族』を超えた高み

    『小さいおうち』 原作を離れて「失敗作」を撮る理由
    s_atom11
    s_atom11 2015/03/18
    実は小津安二郎の"失敗作"のリメイクだった?!
  • 『アメリカン・スナイパー』 それは違うよ、モハメッド :映画のブログ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 スコープの先に男の姿が見える。男は進撃する米軍を観察しながらどこかに電話している。 男の姿が消えると、建物から女性と子供が現れた。親子のようだ。女性が子供に何かを手渡す。スコープ越しに見るそれは、対戦車手榴弾によく似ている。それを抱えた子供が米軍の方へ走り出す。米兵と戦車に向かって、一直線に。 スコープは子供を捉えている。引き金を引きさえすれば、簡単に子供の命を奪える。「判断しろ。」無線で指令が聞こえる。それが手榴弾だったら、判断の遅れは米兵の危険に繋がる。手榴弾であることが確実ならば。子供は走り続ける。まだあどけなさの残る少年だ……。 予告編でも流れた『アメリカン・スナイパー』のワンシーンは、観客にひどい緊張を強

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  • 『永遠の0』vs『アメリカン・スナイパー』 三つの危うさ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 クリント・イーストウッド監督の傑作『アメリカン・スナイパー』の記事に、梅茶さんからコメントをいただいた。 返事のコメントが長文になるのはいつものことだが、あまりにも長いので別の記事にした。 以下は、梅茶さんのコメントへの返信として書いたものである。 【梅茶さんのコメント】 --- タイトル:自己犠牲の捉え方… ナドレックさん、いつも楽しく読ませてもらっています。この映画戦争映画として大ヒットしていることは、たくさんの人々に何かしらの影響を与えているわけで、私は不安に思うことはないのですが、先日、日アカデミー賞作品賞に選ばれた邦画『永遠の0』が昨年大ヒットし、絶賛や感動の嵐を呼んだ現象に対しては、何故か不安にかられてしまいました。

    『永遠の0』vs『アメリカン・スナイパー』 三つの危うさ
    s_atom11
    s_atom11 2015/03/18
    『永遠の0』の持つ危うさについて "この映画にはシステム1の暴走を止める仕組みがありません。負け戦に反対し(次は勝とうと決意し)、過去の犠牲にこだわり、自己犠牲を称賛することへの歯止めがありません。"
  • 『ベイマックス』 期待される日本

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 年末に配られた冊子に、面白い一覧が載っていた。 読売新聞の購読者に配られる読売家庭版2015年1月号のディズニー映画特集だ。「時代を超えて愛され続けるディズニー長編アニメーション」と題して、長編映画第1作目の『白雪姫』から最新の54作目『ベイマックス』までがズラリと掲載されているように見えた。 だが、記事文には「『ベイマックス』まで入れて54作品。心に残る名作ばかりです。」と書かれていながら、作品の一覧には22作しか載っていない。 しかも未掲載の作品は、『バンビ』(1942年)から『シンデレラ』(1950年)までのあいだに作られたオムニバス6とか、『くまのプーさん』(1977年)から『リトル・マーメイド』(19

    『ベイマックス』 期待される日本
    s_atom11
    s_atom11 2015/01/03
    ベイマックス見たくなる。
  • 『インターステラー』 スピルバーグ版とのラストの違い

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 運動の第3法則: 前へ進むためには何かを後へ置いていかなければならない。 ラザロ計画――それはクリストファー・ノーラン監督の傑作『インターステラー』で描かれるプロジェクトの名前だ。そのネーミングには、複数の意味が込められているに違いない。 そんなにSFが好きなのか! 私は、地球からの脱出を図る計画の名がラザロ(Lazarus missions)であることに、クリストファー・ノーランのSF志向を感じてニヤリとした。 ラザロ、英語風に読めばラザルスは、ロバート・A・ハインラインの幾つかのSF小説に登場する人物の名だ。おそらくハインラインが創造した中でもっとも有名なキャラクターだ。 前向きで柔軟で行動的な彼が最初に登場し

    『インターステラー』 スピルバーグ版とのラストの違い
  • 『GODZILLA ゴジラ』 渡辺謙しか口にできないこと

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 「ゴジラはアンチヒーローなんだ。善玉じゃないけれど、悪の化身でもない。」 ゴジラとは何か? ゴジラ映画を撮る際に作り手が最初に悩むであろうこの質問に、『GODZILLA ゴジラ』のギャレス・エドワーズ監督は上のように答えている。 1954年に誕生して以来、ゴジラというキャラクターはブレ続けてきた。人間を襲う脅威だったり、人間を助けるヒーローだったり、息子思いの教育パパだったりした。 受け手にしても、はじめて接したゴジラ、思い入れのあるゴジラは人それぞれだろう。 どのようなゴジラ像をもってしても万人を喜ばせるのは難しいに違いない。 それでも1985年の『ゴジラ』や1999年の『ゴジラ2000 ミレニアム』等でゴジラシ

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  • 『アメイジング・スパイダーマン2』は、この敵でなければならなかった!

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 サム・ライミ監督の『スパイダーマン3』には、ヒロイン、メリー・ジェーンの恋敵として、グウェン・ステイシーが登場した。そのグウェンが、新シリーズではヒロインになっている。まったく逆の扱いだが、原作ではどちらかといえばグウェン・ステイシーがヒロインでメリー・ジェーンは恋敵だったから、これも新シリーズの原点回帰の表れだろう。 そして『アメイジング・スパイダーマン2』には、メリー・ジェーンが登場する予定だった。『ファミリー・ツリー』でジョージ・クルーニーの娘を演じたシェイリーン・ウッドリーをキャスティングし、すでに撮影も済んでいたそうだから、実現すれば『スパイダーマン3』と好対照の展開になっただろう。 『アメイジング・スパ

    『アメイジング・スパイダーマン2』は、この敵でなければならなかった!
  • 『アメイジング・スパイダーマン』 新シリーズの違いは逆になったこと!

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 スパイダーマンと戦う次なるヴィラン(悪役)は、全世界のハゲ男の星ともいうべきハゲタカ男のヴァルチャーだ。この凶悪なツルッぱげの老人を演じるのは、『バーン・アフター・リーディング』等でハゲぶりも板についているジョン・マルコビッチ。たしかに適役だ。 そして1作目の敵グリーン・ゴブリンに、ニュー・ゴブリンとなる息子がいたように、ヴァルチャーの娘ヴァルチャレスも登場する。それを演じるのはアン・ハサウェイ。目鼻立ちのハッキリした彼女は、まさに悪のヒロインに相応しい。 このような強力な布陣で新作は撮影されるはずだった。サム・ライミ監督の『スパイダーマン4』は。 そこでは、主人公ピーター・パーカーとメリー・ジェーンが結婚しており、彼らのあいだにも

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  • 『風立ちぬ』 宮崎駿と堀越二郎を繋ぐのは誰だ?

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 宮崎駿監督の育った家は、戦争中とても景気のいい家だった。 自動車の個人所有が一般的ではなく、しかも原油不足から民間では木炭自動車が使われていた当時にあって、彼の父はガソリンの自家用車に乗っていた。世間が糧難で、べる物が何もない中、宮崎家はおひつでご飯をべていた。 叔父が社長、父が工場長を務める宮崎航空興学は、軍需産業の一員として飛行機部品を組み立てていた。栃木県の工場には千数百人の工員がいたというから、ちっぽけな町工場ではない。なるほど、裕福な一族だったのだろう。 だが、未熟な女の子たちを臨時工として動員しても、できた翼は規格に合わない。規格に合わなくても、検査官の軍人にポケットマネーを渡せば通ってしまう。 それで特攻隊の青年

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  • 『宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン』 彼らは442だった!

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 遂に公開された第六章には深く考えさせられた。 『宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン』が面白いのは判りきっている。なにしろシリーズ最大の見せ場ともいえる、七色星団の決戦が描かれるのだ。つまらないわけがない。 三隻の多層式航宙母艦と戦闘航宙母艦、そしてドメル上級大将の乗艦ドメラーズIII世からなるドメル機動部隊の姿は、旧作のドメル艦隊に勝るとも劣らない勇ましさだ。特殊削岩弾(旧ドリルミサイル)や物質転送機(旧瞬間物質移送器)もしっかり再現し、ドメル及びヤマト双方の砲撃戦や、艦載機による空中戦は当に大迫力で、まばたきするのも我慢して目を見開き続けた。 あえて七色星団海戦の残念なところを挙げるとすれば、第19話『彼らは来た』

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  • 『コクリコ坂から』 忘れ去られたモデルとなった事件

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 なぜ1963年なのだろう? マンガ『コクリコ坂から』が少女マンガ誌『なかよし』に連載されたのは、1980年である。もちろん、その時代を背景に、その時代の少女たちを対象に描かれたマンガだから、映画のように高度経済成長期を舞台としたわけではない。 にもかかわらず、映画『コクリコ坂から』の時代は1963年と設定されている。 1963年――1941年1月生まれの宮崎駿氏は22歳、学習院大学を卒業し、アニメーターとして東映動画に入社した年である。すなわち、この映画は宮崎駿氏のアニメーター人生のはじまりとなった時代を描いているのだ。 また、主役二人の年齢から逆算すれば、その出生の秘密は18年前に遡る。1963年の18年前と云え

    『コクリコ坂から』 忘れ去られたモデルとなった事件
  • 『プロメテウス』 エイリアンに反する人類の起源

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 『プロメテウス』という題は、20世紀フォックスのCEOトム・ロースマンの発案だ。リドリー・スコット監督によれば、当初『プロメテウス』はジョン・ミルトンの『失楽園(Paradise Lost)』にちなんで『パラダイス』という題であったという。しかしこの題は、あまりにも多くのことを観客に知らせてしまうために変更された。ギリシア神話の神にちなんだ新しい題は、勇気を持って行動したため、ひどい罰を受ける者を表している。 その『プロメテウス』で描かれるのは、宣伝で流れる惹句のとおりに、「人類は どこから 来たのか。」という問題だ。 そこに、シリーズ第1作の『エイリアン』とはまったく異なる時代背景がある。 1979年公開の『エイ

    『プロメテウス』 エイリアンに反する人類の起源
  • 『宇宙戦艦ヤマト2199』 変貌した古代守問題

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 『宇宙戦艦ヤマト』のファンに求められるのは、何よりも忍耐強さだろう。 作る作ると云われながらいつまでも世に出てこない長い時間を耐え忍ぶことはもとより、できたらできたでトホホな内容でも我慢すること、不合理・不条理に満ちていても仕方がないサと諦めること、それがファンにとって必須の心得だ。 しかし、『宇宙戦艦ヤマト』第1テレビシリーズから38年を経て、遂に私たちの前に我慢も諦めもいらない「ヤマト」が登場した! ファミリー劇場で放映された『宇宙戦艦ヤマト2199』第1話を見た私は、あまりのことに腰を抜かしそうだった。感極まって涙が込み上げてきた。 面白い!カッコいい!素晴らしい!! はじめて『宇宙戦艦ヤマト』の第1シリーズを見たときの興奮が

    『宇宙戦艦ヤマト2199』 変貌した古代守問題
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