札幌市の補助制度を利用して同市に進出したIT企業2社が経営破綻(はたん)し、返還義務のある計約2100万円の補助金が未回収になっていることが分かった。制度は上田文雄市長が07年の再選時に公約に掲げて導入した。市は「当時、08年のリーマン・ショックによる不況は予測できなかった」としているが、誘致企業の経営実態の把握は不十分で、市の審査や監督の甘さを指摘する声も出ている。 補助金は、ITやバイオなどの企業が、5人以上を市内で新規雇用するか市内に異動させるかして事業所を開く場合に、人件費や設備費など最高2000万円が交付される。上田市長が雇用創出や新産業育成のため「10年度までに15社誘致」を掲げ、これまでに目標の15社が進出、10社に計約1億1000万円の補助金が交付された。 補助を受けた企業は6年以上、市内で事業を継続させる義務があるが、10社のうち、08年4月に進出したソフトウエア開発