【読売新聞】 植物の光合成のうち解明が最も難しかった、水から酸素ができる反応の一端を捉えることに成功したと、岡山大などの研究チームが発表した。X線自由電子レーザー施設「 SACLA ( サクラ ) 」(兵庫県佐用町)の強力なX線をご
名古屋市立大学(名市大)は8月29日、線虫を電気で刺激すると速い速度で走りだすこと、またこの現象が基本的な「感情」によって引き起こされている可能性を明らかにしたことを発表した。 同成果は、名市大大学院 理学研究科のティー リンフェイ研究員、同・木村幸太郎教授、米・ノースイースタン大学のヤング・ジャレッド教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、米国遺伝学会が刊行する遺伝学とゲノミクスに関する全般を扱う学術誌「Genetics」に掲載された。 脳の働きの中でも特に研究が進んでいないのが感情だという。なぜなら、実験対象となる動物に「喜び」や「悲しみ」が存在するようには見えないため研究が難しいからだ。 しかし2010年代に入り、「感情には持続性がある」、「感情には正負の値がある」といった特徴に注目することで、ザリガニや昆虫にも感情のような脳の働きがある可能性があるという報告がされるようになっ
虫が光に引き寄せられる理由がついに判明!虫が光に引き寄せられる理由がついに判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部多くの人々にとって、街灯や勉強机の明かりに虫たちが集まっている風景は身近なものでしょう。 夏場のコンビニの軒先など設置されている害虫駆除装置も光に誘引される虫たちの性質を利用したものであり、近づいてくる虫たちに「バチッ」という音とともに電撃を与え感電死させるものとなっています。 ただなぜ虫たちが光に集まるのか、その根源的な理由については謎となっていました。 たとえば有名な4つの仮説(①~④)をみてみると ①「虫には光に向かって飛ぶ走性があるとする説」に対しては先に述べた通り、そもそも虫には近場の光源に直接向かうような行動がほとんどみられず多くは垂直に直交するような飛び方をします。 ②「月の光を頼りに航行してるところを人工光源によって混乱したとする説」は長らく最
文:立山 晃/フォトンクリエイト 石油は、太古の生物が合成した有機物が、高温・高圧の地下で長い時間をかけて化学的に変化してつくられたと考えられています。 ところが2021年7月、JAMSTEC地球環境部門の原田尚美部門長たちは、北極海で採取した植物プランクトンが、石油と同じ成分をつくり出していることを公表しました。 その特殊能力を利用して高品質のバイオ燃料やバイオプラスチックをつくることができれば、地球温暖化や資源問題の解決に貢献できます。 原田部門長に、今回の発見について聞きました。 どんな生物が石油と同じ成分をつくるの? ──石油と同じ成分をつくっていたのは、どのような生物ですか。 私たちが2013年、北極海のチュクチ海で採取したディクラテリア・ルトゥンダ(Dicrateria rotunda)という植物プランクトンです。ハプト藻の仲間で、動き回るためのべん毛を持っています。 ディクラ
愛媛県立長浜高等学校水族館部がクラゲ予防クリームを企業と共同開発! 高校生たちの研究から、海にもクラゲにもやさしいクラゲ予防クリームが商品化されました。そしてこの夏、日焼け止め機能を追加した新商品『JELLYS GUARD SUN SCREEN』をラインナップに追加! 2021.08.16 “駆除ではなく危険を緩和して海洋生物との共存を目指す”。そんな生き物にも環境にもやさしいクラゲ予防UVクリーム『JELLYS GUARD SUN SCREEN』が2021年4月に発売されました。 これは海と日本プロジェクト推進パートナーの愛媛県立長浜高等学校の研究を発端に、静岡県の株式会社エイビイエスとの共同開発によって発売したものです。 発端となったのは、それまで多くの研究者が長年解明できなかった世界的大発見となる研究でした。 今回は、その長浜高校水族館部の顧問である重松洋先生と、研究班メンバー1年生
なぜヒトは巨大な脳を持っているのか? 研究者たちは、この脳進化における疑問に長年取り組んできました。 チンパンジーの遺伝子は人間と99%一致していることが知られていますが、ヒトの脳はチンパンジーよりも3倍大きく、構造にもかなりの違いがあります。 そのためドイツと日本の研究者は、ヒトとサルを分けた因子が互いに一致していない、残り1%の遺伝子の中にあるのではないかと考え、その中でも有力視されているARHGAP11B遺伝子をサルの受精卵に組み込みました。 まさしく知恵の実とも言える遺伝子を組み込んだ結果、サル胎児の大脳新皮質の厚さは2倍になり、人間と同じような脳のシワが生まれました。 なかでも、人間とサルの脳で最も違いが大きかった脳上層部の脳細胞数の増加が著しく、サルの脳は完全にヒト化を始めていたそうです。 しかし、このままでは倫理的な問題が生じると考えた研究者によって、出産予定日の50日前に中
魚やエビやカニなど私たちの食卓に欠かせない水産物は天然と養殖、どちらが多いかご存じでしょうか。正解は養殖です。世界で生産される水産物のうち、養殖は年間1億1000万トン余りで、水産物の半分以上を占めるまでに増えています。その養殖で今、注目を集めている日本発の技術があります。特定の色の「光」をあてて魚を早く大きく育てるという技術です。すでに実用化が始まったこの技術の不思議な効果を取材しました。(科学文化部記者 寺西源太) 「とても変わった養殖が行われている」という話を聞き大分県に向かいました。大分県の養殖ヒラメの生産量は、令和元年は643トンで全国トップと、魚の養殖が盛んです。 今回、訪れたのは大分県佐伯市の養殖業者「東和水産」です。 海辺に建つ建物の中に入ると、目を疑う光景がありました。 ヒラメを飼育している水槽全体が緑色に見えます。天井からつるされた緑色のLEDライトが日中の12時間、点
海洋生物・ウミウシの一種が、心臓など体の大部分を自ら切断(自切)した後、残った頭部から体全体を再生できることを奈良女子大の研究グループが発見した。失った体の大部分を再生できる例として水生生物のプラナリアやゴカイなどが知られるが、グループは「複雑な身体構造を持つ生物で確認されたのは初めてとみられる」としている。9日付の米科学誌カレント・バイオロジー(電子版)に掲載された。 ウミウシの一種「囊舌類(のうぜつるい)」のうち、食べた海藻から取り込んだ葉緑体で光合成できる「コノハミドリガイ」と「クロミドリガイ」、計15体で確認した。飼育していたウミウシが自切して頭部と体に分離したため、観察を続けたところ、全体の2割以下の重量に過ぎない頭部から1週間以内に体の再生が始まり、3週間後にほぼ完全な状態となった。切り離した体部分は頭部を再生することはできなかったが、それでも最長で…
加齢に伴う体の衰えや病気などの原因の1つとされる「老化細胞」を死滅させることで、体の機能を改善させることに東京大学などのグループがマウスを使った実験で成功したと発表しました。 この研究は東京大学医科学研究所の中西真教授らのグループが、アメリカの科学雑誌「サイエンス」で発表しました。 加齢などにより分裂が止まった細胞は正常に働かなくなって、体の機能の低下や病気を引き起こすとされ「老化細胞」とも呼ばれています。 グループは、この「老化細胞」は「GLS1」というたんぱく質が働かなくなると死滅することを突き止め、年を取ったマウスにこのたんぱく質の働きを止める薬を投与しました。 その結果、実際にマウスの「老化細胞」が死滅し、血糖値の異常や動脈硬化などの症状が改善することが確認できたということです。 マウスがどれだけの時間、棒につかまっていられるかを調べる実験では ▽若いマウスではおよそ200秒で、
ネコは植物のマタタビを与えると、体にこすりつけるなどの特有な反応をすることが知られていますが、岩手大学などの研究グループは、ネコに作用する物質をマタタビから同定したと発表しました。この物質は蚊を寄せつけないこともわかり、マタタビをこすりつける反応は、ネコが蚊を避けるよう進化してきた結果なのではないかとしています。 ネコはマタタビの葉や実を好み、体にこすりつけるなどの特有な反応が引き起こされることが知られていて、60年余り前の研究で「マタタビラクトン」という物質が関係しているとされてきました。 岩手大学の宮崎雅雄教授と名古屋大学などの研究グループは、最新の技術で改めて分析したところ、マタタビに含まれる「ネペタラクトール」という物質が「マタタビラクトン」よりもネコに強い作用を引き起こしたほか、葉に含まれる量も10倍以上あり、ネコに作用する主な物質は「ネペタラクトール」であることがわかったという
【動物園を100倍楽しむ方法】第4回 モグラ 動物が大好きだから、もっと動物園の生き物について、いろんなことを知りたい。動物園の生き物のトリビアを周りの人たちに教えて、一目置かれたい。それには動物園の飼育員さんに聞くのが一番だと考えたのが、この企画である。動物園の動物のいろんな逸話を、飼育員さんに教えてもらおう。 東京都日野市に位置する多摩動物公園は、上野動物公園の約4倍という豊かな自然が残る敷地に、できるだけ柵を使わない形で動物を展示している。今回、取り上げるのはモグラである。多摩動物公園にログハウスのような展示施設、「モグラのいえ」が開設されたのは15年ほど前。現在、11頭のモグラが飼育展示されている。 扉を開くと中は20畳ぐらいのスペースだ。部屋の中央に配されたテーブルの表面の透明なアクリル板の中には、山砂が詰め込まれ、それぞれ区切られた“モグラの寝ぐら”になっている。そこから伸びる
微生物も、自然発生はせず、もとになる個体が必ず必要である事を知る。パスツールの実験から、科学的な思考や実験の方法について考える。 スープは数日で腐って色がにごり、嫌な臭いがします。この時、スープにはたくさんの小さな生き物がいます。150年ほど前まで、微生物は栄養さえあれば自然に産まれるという考えがありましたが、フランスの科学者、ルイ・パスツールは、微生物は自然に産まれるのではなく、外からやってくると考えました。そこで、微生物が入らないようにして実験したのです。それを再現します。スープの入ったガラスのフラスコの首を熱で折り曲げます。パスツールの考えたフラスコです。首が二回折り曲げられて、外の空気以外は入りません。普通のフラスコと比べてみます。まずスープを火で熱して、もともと中にいる微生物を殺します。もしスープの栄養から微生物が産まれるのであれば、同じようににごるはずです。3日後、外から微生物
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「3色型の有利性がどれくらいのものなのか、本当にあるのかということも含めて調べましょうということで、何をしたかといいますと、まず、果実や葉っぱの反射率を測定して、色を数値化する作業をしました。同時に降り注ぐ太陽の光の波長測定をすれば、サルのオプシンの吸収波長はわかっているので、そのサルにとってその色がどんなふうに数値化できるかといえるわけです。2004年から2005年にかけて、博士課程の学生だった平松千尋さん(現・九州大学助教)が、25頭の群れを8カ月見続けて得たデータです。こういった研究を練り上げるのは、平松さんとアマンダ・メリンさんという当時のカルガリー大学の学生さん(現アシスタント・プロフェッサー)が相談して決めました。それで、2人の共同研究でどんどん面白いことがわかってきたんです」 サルのオプシンがどの波長を見やすいかがわかっているので、果実や葉っぱが反射する光の波長を測定すれば、
西海望 理学研究科 博士課程学生(現・基礎生物学研究所・日本学術振興会特別研究員)、森哲 同准教授は、カエルとヘビが対峙したまま動きを止める現象が、双方の適応的な意思決定によって成り立つことを明らかにしました。 捕食者と被食者が対峙したとき、先手を取った側が有利であると一般的に考えられてきました。しかし、トノサマガエルとシマヘビにおいては、先手で動き始めると相手の対抗手段に対して脆弱になってしまうことが明らかになりました。そして、双方ともに後手に回ろうとした結果、我慢比べのような膠着状態が生じうることが示されました。また、この先手が不利となる状況の成立は両者間の距離に依存しており、トノサマガエルとシマヘビは、距離に応じて先手を取るかどうかを適切に選択していることが明らかになりました。 本研究成果は、捕食者と被食者の戦略に新たな視点を提起するものです。また、恐怖で動けないことの喩えとして用い
腕だけで「2.4メートル」もある 謎の恐竜・デイノケイルスや 日本最大の全身骨格・むかわ竜など、 次々とすごい発掘をしてきた 恐竜研究者・小林快次さんは、 子どものころから大の恐竜好き‥‥ なんかじゃ、ぜんぜんなかった! それどころか、 やりたいことが見つからず、 もがき苦しむ青春を送っていました。 おなじ悩みを持つ若人に、 ぜひとも、読んでほしいと思います。 もちろん恐竜のお話も、たっぷりと。 (もともとその取材だったんです) 担当は「ほぼ日」奥野です。 >小林快次さんのプロフィール 1971年、福井県生まれ。 米国の大学で学部を卒業し、博士号も取得する。 現在、北海道大学総合博物館教授。 恐竜の進化、生活復元、生活地域や移動等、 多岐にわたって研究している。 「恐竜がどうやって鳥に進化したのか」や 「北極圏のような 厳しい環境にどうやって棲めたのか」など、 恐竜について多くのテーマを追
太平洋の南鳥島沖の海底で、およそ1100万年前に巨大な隕石が衝突したことを示す痕跡を、海洋研究開発機構などの研究グループが発見し、この時代に起きた生物の大量絶滅の原因になった可能性が高いとしています。 海洋研究開発機構などの研究グループは、太平洋にある南鳥島沖の海底を掘削して資源調査を行っていたところ、海底下3メートル余りで、イリジウムやプラチナなどの特殊な元素が通常の数十倍の濃度に達する部分があることを見つけました。 イリジウムやプラチナなどの濃度の急激な上昇は、隕石衝突の痕跡と考えられていて、年代を分析すると、およそ1100万年前と推定されたということです。 地球では1160万年前に哺乳類を中心に、主な生物の種類の15%程度が死滅したという大量絶滅が起きていて、これまで、その原因は謎とされてきましたが、研究グループはイリジウムの濃度などから、直径数キロの巨大な隕石が落下して大量絶滅が起
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