収入や職業、学歴などの社会的要因による健康状態の格差を減らす対策を話し合う世界保健機関(WHO)の国際会議が19~21日、ブラジルで開かれる。欧米や韓国などでは政府が数値目標を掲げて「健康格差」対策を進めるなど関心が高く、参加予定80カ国の過半数は大臣級の代表が出席する。一方、日本でこうした観点の対策はなく、会議にも省庁の担当者レベルの参加を検討するにとどまり、専門家からは積極的な取り組みを求める声が出ている。 健康格差問題に詳しい日本福祉大の近藤克則教授によると、80年代以降、欧州を中心に研究が進み、健康は遺伝や生活習慣だけでなく、社会的要因によっても左右されることが明らかになった。英国では、ブレア政権が国としての数値目標を設定して対策を推進。WHO総会では09年、加盟国に健康格差是正へ向けた取り組みの推進を勧告する決議が採択された。 対策の対象は医療だけでなく、都市計画や労働、交通、税