政府が年内の運用停止を決めた、新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA(ココア)」。多くの国民がダウンロードするなじみのあるアプリとなったが、トラブル続きの印象は拭えない。ココアの開発や運用に携わり、内情を知り尽くした厚生労働省新型コロナ対策推進本部参与の三宅邦明氏は、トラブルが続いた要因に数々の「お役所体質」を挙げるのだった。【金秀蓮】 三宅氏は、1995年に慶応義塾大医学部を卒業し、医師免許を持つ「医系技官」として旧厚生省(現在の厚労省)に入省した。2009年に国内で流行した新型インフルエンザ対策にも関わり、感染症対策を担う健康局結核感染症課長を最後に退職。19年4月、IT大手企業に転じた。 ココアを所管することになった厚労省内では当初、感染症に詳しい職員はいても、IT分野にも精通する人材は乏しかった。後任の課長が疲れ切った様子をテレビで見て「何か手伝えないか」と人事に相談する中