米ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホル(1928~87年)は、大量生産・大量消費の現代社会をアートで表現し、20世紀美術の新たな地平を切り開いた。その代表作の一つ「ブリロの箱」が今、鳥取県で大きな議論を巻き起こしている。2025年開業予定の県立美術館の目玉コレクションとして同県が約3億円で購入したことに対し、「税金の無駄遣い」「作品の意味がわからない」といった声が噴出したのだ。人口最少県の“全国最後の県立美術館”をめぐる騒動から見えてくるものとは――。 「アンディ・ウォーホルの作品購入でいろいろとお騒がせしております。申し訳ありません」 22年11月23日。鳥取県西部の南部町で開かれた県民説明会は、県教育委員会の担当局長による謝罪の言葉で始まった。 収集に当たった尾崎信一郎・県教委美術振興監は、「ブリロの箱」の20世紀美術史における重要性や複数コレクションする意義、有識者委員会に諮るな