潮が引くと、2本の鉄道橋の間の川面から、円形の土台がうっすらと現れた。 神奈川県平塚市の相模川にかかる「旧馬入川橋梁(ばにゅうがわきょうりょう)」の橋脚の跡だ。 100年前、ここに架かっていた鉄道と道路の二つの橋は、いずれも関東大震災で倒壊した。首都圏への交通や住民の生活に欠かせないものだったが、応急復旧に1~2カ月かかり、その間は渡し船で川を渡っていたと、平塚市博物館の記録にある。 「何かの跡だとは思っていたけれど、100年前のものとは思わなかった」。川沿いの遊歩道を散歩していた地元の70代男性に尋ねると、驚いた様子だった。