「有害」と目されたページに付箋が貼られた雑誌を審査する有害図書の審議委員=仙台市青葉区の宮城県庁で9月7日、小川祐希撮影 過激な暴力や性の表現が青少年の健全育成を阻むとして、各自治体の条例で実施されている「有害図書」(東京都は「不健全図書」)の規制。毎日新聞デジタルで6月以降、そのあり方を考えるインタビュー記事を連載した。取材を通して湧いたのは二つの疑問だ。有害図書の指定は客観的な基準ではなく、審議する側の主観、もっと言えば先入観や偏見に左右されているのではないか。にもかかわらず、私たちは安易に規制を受け入れているのではないか。 有害図書を指定して18歳未満への販売を禁じる条例は1950年代以降に制定され、長野を除く46都道府県に広がる。2021年の指定数が全国最多だった宮城県の審議会を9月に傍聴すると、いわゆる「エロ本」8冊を審査した委員が、コンビニエンスストアでエロ本を立ち読みする男子