2016年の自己破産の申し立てが6万4000件を超え、13年ぶりに増加に転じた。かつて、多重債務は無計画な若い世代の問題とされていたが、最近では働き盛りの中年や退職したシニアが、カードローンなどをきっかけに自己破産に陥るケースが目立つという。なぜ、中高年の自己破産が増えているのか。ファイナンシャルプランナーの小澤美奈子さんが実態をリポートし、自己破産を防ぐための手立てをアドバイスする。 「消費者金融では借りられなかったのに、銀行は貸してくれました」 東京都内に暮らすAさん(58歳)は今春、ついに自己破産を申請しました。始まりは、10年ほど前にさかのぼります。クレジットカードによる買い物とキャッシングの借り入れがきっかけでした。 「当時は会社員として働き、収入も十分にあったので、多少返済額が多くなっても問題ないと思っていました」 Aさんの借金は約200万円。銀行残高が底をつき、返済が滞ると、