振動特性に優れる直列6気筒。しかしレスシリンダー化と衝突安全対策の観点などから、ひとり気を吐くBMWを除き自動車用としてはもはや絶滅危惧種──と思われるなか、ダイムラーが直6エンジンを復活させてきた。あらためて、このエンジンの特徴とねらいを考えてみる。 TEXT:三浦祥兒(MIURA Shoji) レシプロエンジンの性能を規定するのは、第一にシリンダー内径×行程、つまりボア/ストロークとそれによって決定される単室気筒容積である。特にガソリンエンジンの場合、シリンダー内径はプラグ点火の火炎伝播距離という制約から無闇に大きくすることは憚られるため、概ね100㎜が上限とされる。第二次大戦時の航空機用ガソリンエンジンには200㎜級の内径を持つものもあったけれど、航空機用エンジンはフェイルセーフの観点から2プラグが必須であること、常用エンジン回転数が2000rpm台に収まり、自動車用のように高回転を