『その数学が戦略を決める』(イアン・エアーズ著・文芸春秋)は、最近読んだ本の中でも非常に興味深い内容だった。企業の経済活動や社会政策立案の様々な局面の意思決定において、統計処理された膨大なデータが活用されている実態を描く内容で、<計算式と法曹の専門家はどちらが裁判の結果を正確に予測できるか>などの事例もわかりやすく、統計学に疎い自分でも抵抗なく読み進めることができた。 さて、このテラバイト単位のデータ処理=絶対計算を競馬の世界に当てはめると、と考える。 まず浮かぶのはレース予想への応用である。出来の良し悪しを別として、予想ソフトはずっと前から存在したし、90年代前半にはすでに回帰分析を用いたソフトがNiftyあたりに出回っていた。現在はそれがニューラルネットワーク(すなわち人間の神経系のように、新しい刺激により反応を自動更新するプログラム)が応用される時代になり、JRA-VANが提供してい