マーシャ・ゲッセンに取材を申し込むと、ゲッセンは「女性(ミセス)とも男性(ミスター)とも呼ばないでほしい。自分のジェンダーはノンバイナリーだから」と応えた。ゲッセンは、ロシア出身のアメリカの作家である。そして、誰よりも早くウラジーミル・プーチンの非道な権力について書いた知識人だ。 ユダヤ系の家族のもとにモスクワで生まれ 、長いあいだロシア全土でゲイであることをオープンにしていた唯一の人物だった。そのためゲッセンは、ユダヤ人として、またゲイとして二重の差別に遭ってきた。 1981年、14歳のときにゲッセンは「米国難民第三国定住プログラム」で、家族と共にアメリカに移住した。だが2つのパスポートは常にとっておいた。10年後、ジャーナリストとしてロシアに戻ろうと決めたとき、ゲッセンはそのパスポートを使った。だがこの選択によって、投獄と絶え間ない迫害の危険に身を曝すことになる。 そして2013年に、