来年3月、山口県周南市の徳山駅前にオープン予定の新図書館に、またひとつ疑惑が持ち上がった。 この図書館を空間プロデュースから手掛け、開館後は指定管理者として運営を一手に担うのは、レンタル大手・TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)だ。同社が2011年に東京・渋谷にオープンした代官山蔦屋書店を彷彿とさせる、イメージ先行の図書館がまたひとつつくられようとしている。 3月18日付当サイト記事『ツタヤ図書館、ダミー本3万5千冊に巨額税金…CCC経営のカフェ&新刊書店入居』において、152万円もの税金を投入して、中身が空洞の“ダミー本”を3万5000冊分も購入する計画であると報じ、大きな反響を得た。 中心市街地開発の一貫として、建設が予定されている駅ビルにできる複合施設内に、国の補助金をもらうために公共図書館をつくる――。そんな周南市の計画は、佐賀県武雄市、神奈川県海老
「まったく、人をバカにした話だと思いますよ。152万円も出して、ダミー(偽物)を3万5000冊も買って並べるというのですから」 そう憤慨するのは、山口県周南市のある市議会関係者だ。憤るのも無理はない。昨年12月に開催された市議会の予算委員会で、市が来年2月オープン予定の新図書館の開館準備に合わせ「ダミー本を3万5000冊分、約152万円で購入」することを明らかにしたからだ。 「ダミー本」とは、ダンボールでできた中身が空洞の偽物の本のこと。マンションのモデルルームなどで、部屋のインテリアをオシャレに演出するために使われる洋書風の小道具といえば、イメージしやすいだろう。その偽物の本を、よりによって新設する公共図書館に3万5000冊分も入れる計画というのだ。 仮に1冊2センチの厚さの単行本を寝かせて縦に積み上げると、その高さは700メートルにもなる。偽物に152万円も使わず、1冊2000円の本を
ここには、刊行年度の古い本がズラリと並んでいる。これも中古本の選書リストの一部と思われるかもしれない。だが実は、これは多賀城市立図書館がツタヤ図書館としてリニューアルオープンする前、昨年4月に決裁された除籍(廃棄)本リストの一部分である。 この除籍リストをみると、ほとんどは雑誌のバックナンバーで、単行本の除籍は少ないが、その単行本には生活・実用書がズラリと並んでいる。 注目したいのは、いつ発行の本かだ。この除籍本の「受入日」(実質的には刊行年)をみると、1990年代もあるが大半は2000年代だ。前回記事で紹介した選書リストの料理本に数多くの90年代出版のタイトルが並んでいたのと比べたら、むしろ廃棄した本のほうが新しいくらいである。 市民の貴重な税金で購入する本が、廃棄した本より古いというのはどういうことなのか。これから購入しようとしている本のリストと、不要として廃棄した本のリストの見分けが
あの日から、もうすぐ丸5年を迎える――。被災した市民にとっては、真新しい建物に移転する市立図書館のリニューアルオープンについては、感慨もひとしおだろう。 東日本大震災が起きた5年前、宮城県多賀城市立図書館では、建物の倒壊や来館者の人的被害こそなかったものの、市民が借りていた本の多くが津波で流出して蔵書が多数失われた。建物補修でも1年を超える休館を余儀なくされた。人も予算も足りないなかで、1日も早く復旧するために、図書館関係者はさぞや苦難の連続だったに違いない。 そんななか、復興の象徴として菊地健次郎市長が推進してきたのが「ツタヤ図書館」の誘致だった。街に賑わいを呼ぶために、交通の便の良い駅前に新たな複合ビルを建設。その中にお洒落なカフェと新刊書店、レンタル店が同居する新感覚の図書館を設置する計画は、レンタル店大手TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が2013
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