世界一の長寿国・ニッポン。世界保健機関(WHO)が2021年にまとめた報告書によれば、19年調査の結果、日本は男女の平均寿命が84.3歳でスイスを抑えてトップ。医療体制の充実に加え、その要因とされるのが、脂肪摂取量が少なく、バランスの取れた伝統的な食文化「和食」だ。和食は2013年に、ユネスコの無形文化遺産にも登録され、健康志向も相まって、世界的に注目を集めている。 ところが、和食の代表格とも言える「魚食」が、その伝統を継承してきた日本で危機的な状況に直面している。およそ10年前、日本人の魚摂取量は肉に抜かれ、その差は現在も拡大傾向。若者を中心とした「魚離れ」が指摘され続けている。 食の欧米化が進む中で、40年にわたって大手スーパーで魚の取引を担当し、チーフバイヤーまで務めた現・水産アドバイザーの小谷一彦氏(65)は、自ら行ってきた魚ビジネスを振り返りながら「スーパーの魚販売と、日本人の魚
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