周囲に人家がなく、鉄道でしかたどり着けないような山間の「秘境駅」を巡る人たちが増えている。自然豊かな県内は、秘境駅の宝庫。人気に目を付けた鉄道会社が、ツアーを組んだり臨時急行を走らせたりして売り込んでいる。 JR飯田線の豊橋駅(愛知県豊橋市)から2時間半。静岡、長野、愛知の県境に近い山中の小和田駅(浜松市天竜区)に降り立つと、人の気配が消え、秘境ムードが漂う。両側をトンネルに挟まれ、周りに人家はおろか、車道もない。 古びた木造の駅舎がたたずみ、レトロな雰囲気を醸し出す。聞こえてくるのは、虫の鳴き声や風の音だけ。待合室の机には、訪れた人たちの思いがびっしりと書き込まれたノートが並んでいた。 秘境駅は、広島県三次市の鉄道愛好家、牛山隆信さんが提唱した造語。牛山さんは自身のホームページ「秘境駅へ行こう!」で全国の秘境駅ランキングを公開しており、小和田駅は堂々の2位。飯田線沿線は、ほかにも田