『不合理だからすべてがうまくいく』、ダン・アリエリー/著 櫻井祐子/訳、早川書房、1995円(画像クリックで拡大) やるべきことを先延ばしにしたことなんて一度もない、と言い切れる人は果たしてどれほどいるだろうか? 厄介ごとを後回しにするのは、どうやら人間の習性であるらしい。そんな人間の弱さを理解した上で、人々が誘惑を避け、自制を行使し、いつか長期目標を実現するためにはどうすればいいのかを考えるのが、行動経済学という学問。つまり、私たちはなぜ不合理な行動をしてしまうのか、そしてその不合理さが経済にどのように影響するのかを、実験を通して考えるのである。 本書『不合理だからすべてがうまくいく』は、世界中でベストセラーとなり、行動経済学ブームを巻き起こした前作『予想どおりに不合理』の続刊である。前作とは異なり、経済活動だけでなく、それ以外の人間の行動についても言及しているのが特徴。例えば、巨額のボ