「少なくとも国内100カ所の港に入れそうだ」。9月中旬、東京・六本木の東京ミッドタウン内のオフィス。パワーエックスとその協業企業による開発チーム約20人が集まり、電気運搬船の具体的な運用についてシミュレーションを重ねていた。 電気運搬船は、電気の燃料ではなく、その名の通り、電気そのものを運ぶ。船に蓄電池を積み、発電地域まで行って電気をためて、需要地に移動して電気を供給する。初号機は2025年に運用を始める予定で、国内の洋上風力発電所から近隣の港に電気を運ぶケースなどを想定している。 同社を21年に設立したのが社長CEO(最高経営責任者)の伊藤正裕氏(39)。伊藤氏は伊藤ハム創業家出身で、弱冠17歳だった00年に3次元コンテンツ事業の「ヤッパ」を創業した。その後に加わったZOZOでは「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」開発も手掛けるなど異才ぶりを発揮してきた。 伊藤氏は人類が直面する気候変動の