ユーシェンコ大統領=APチモシェンコ首相=ロイター 【モスクワ=副島英樹】経済危機が深まるウクライナで30日夜、ユーシェンコ大統領が突然国民に向けてテレビ演説し、「今の経済状態を招いた全責任はチモシェンコ首相にある」と名指しで批判、議会に09年予算の見直しを求めた。1月のガス紛争を収束させるため同首相がロシアと結んだガス価格契約についても、ウクライナに不利な内容だと文句をつけた。 これに対しチモシェンコ首相は「大統領のテレビ演説は虚偽とパニックとヒステリーのちゃんぽんだ」と声明を出して反論。「大統領は経済危機で苦しむウクライナに必要なリーダーではない」と切り捨てた。 2人は来年早々の次期大統領選に向けライバル関係にあり、露骨な足の引っ張り合いが泥沼状態に入っている。ガス紛争が長引いたのも、それぞれガス権益を持つ両者の争いが一因。政治の混乱が経済危機を増幅させている。