今だからこそ普通の人でも病院で診療を受けることができるが、TPP加盟後はいずれ難しくなるだろう。写真と本文とは関係ありません。=写真:筆者撮影= 「久しぶりだね。どうしてたの?」と聞くと患者は口ごもった。話しているうちに、お金が払えないから病院への足が遠のいていた、ということが分かった。 「血液検査をしましょうか?」と言うと「いや、今回はいいです」と拒否されることもザラになった。患者が医療費を自己抑制するようになったのだ ― こう語るのは知人の町医者だ。 TPPに加盟すれば、庶民にとって医療はさらに高嶺(高値)の花となる。 最も懸念されるのが薬価の高騰だ。知的財産権の保護期間が長くなることにより、ジェネリック薬品の生産が遅れるようになる。 ジェネリックが使えないとなれば、医者は値段が倍のオリジナル薬品を処方しなければならない。患者にとってその分出費はかさむ。 その結果、病院への足は遠のく。