ユヴァル・ノア・ハラリのベストセラーが広めている「神話」は、非政治的であるかのように見えるが、実際には新自由主義的なルールと、シリコンバレーのエリートたちを正当化している──そう批判するのはダニ・グトヴァイン、イスラエルで最も卓越した知識人のひとりとも言われる歴史家だ。 グトヴァインに、ハラリ批判の根拠をフランスメディア「リベラシオン」がインタビュー。 ハラリの「サピエンス神話」を批判する ハラリは、災厄を予言するギリシャ神話のカッサンドラのように見えて、じつのところ新たに啓蒙専制君主の到来をお膳立てしているだけ、それどころか待望すらしているのではないか──イスラエルのハイファ大学教授ダニ・グトヴァインによるハラリ批判のひとつの論点だ。 グトヴァインは、イスラエル左派の大手新聞「ハアレツ」に、「サピエンス神話」を批判する長い告発記事を寄稿した。 ユダヤの社会経済史研究で有名な彼は、イスラエ