退職金ゼロにする奇策が全国自治体で横行 非正規公務員5.8万人、勤務が毎日15分短いだけで「パート扱い」 非正規の地方公務員には退職金を払いたくない? 全国の自治体でそんな観測が浮上している。退職金の受給資格があるフルタイム非正規より1日約15分だけ勤務時間が短いため、受給できない「パート」が約5万8000人いることが国の調査で判明したからだ。専門家は「自治体が恣意的に勤務時間を短くしているのではないか」とみている。(渥美龍太、畑間香織)
人気漫画「セクシー田中さん」の原作者芦原妃名子(ひなこ)さん=1月に死去=は、漫画をテレビドラマ化した日本テレビに「自身の意図とは異なる脚本を示された」と繰り返し訴えていたことをブログで告白していた。制作の過程に問題はなかったのか。映画やドラマ化で原作者の権利は十分守られてきたのか―。「海月姫(くらげひめ)」「東京タラレバ娘」など数々の漫画がドラマ・映画化されてきた漫画家の東村アキコさん(48)に聞いた。(望月衣塑子) セクシー田中さん 漫画家の芦原妃名子さんが小学館の雑誌「姉系プチコミック」で連載していたラブコメディー漫画。アラフォーの独身女性「田中京子」を主人公に、同僚の派遣社員の女性たちとの友情を描いた。 芦原さんはブログに「一見奇抜なタイトルのふざけたラブコメ漫画に見えますが…。自己肯定感の低さ故生きづらさを抱える人達に、優しく強く寄り添える作品にしたい」と狙いを記していた。 日本
同性婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法違反だとして、全国の同性カップルらが国を訴えた裁判で、3月14日の札幌高裁判決(斎藤清文裁判長)は「憲法24条1項に違反する」との初判断を示し、「同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障している」と踏み込んだ。憲法学者はこの判決をどう受け止めたのか。ポイントや意義を、憲法を専門とする慶応大法学部の駒村圭吾教授(63)に聞いた。(奥野斐) 同性婚訴訟 戸籍上、同性の2人の結婚を認めない民法や戸籍法は憲法違反だと訴えた裁判。原告には、戸籍上はともに女性だが、一人がトランスジェンダー男性で、男女として暮らすカップルもおり、原告らは「同性婚」ではなく、「婚姻の平等」を求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟と呼んでいる。2019年に札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5地裁に提訴。21年に東京地裁に追加提訴。これまでの地高裁判決7件のうち「違憲」「違憲状態」は6件に上
国内メーカーで防衛産業を強化する動きが相次ぐ中、消費者団体の日本消費者連盟(日消連)と主婦連合会(主婦連)、市民団体の武器取引反対ネットワーク(NAJAT)は21日、東京都内で会見を開き、次期戦闘機の共同開発に参加している三菱重工業と三菱電機の製品の不買運動などを呼びかけた。 両社が共同開発に参入している日本、英国、イタリアの3カ国による次期戦闘機は、第三国に輸出可能になる見込み。日消連の纐纈美千世事務局長は会見で「人の命を奪う武器をつくろうとする動きは、全力で止めなきゃいけない」と訴えた。 3団体はこの日、次期戦闘機の共同開発や武器輸出の中止を求める要請書を両社に提出した。両社に「死の商人にならないで」と訴えるはがきを送る運動も始めている。はがきの印刷用データは日消連などのホームページからダウンロードできる。(望月衣塑子)
自民党派閥の政治資金パーティーで受け取った裏金の税務処理を巡る自身の発言に批判が集まっていることを受け、鈴木俊一財務相は26日の衆院予算委員会で「国民であれ国会議員であれ、収入や経費を正しく計算し、所得が発生した場合には申告して頂く」と述べ、発言を修正した。 問題となっているのは鈴木氏が22日の衆院予算委で、裏金を受け取った議員は所得として納税することになるかを問われた際に「疑義が持たれた政治家が政治責任を果たす、そういう観点から(議員個人が納税をするかどうか)判断されるべきものであると思う」と述べた答弁。納税は憲法で国民の義務と明記されている。にもかかわらず、答弁は政治家だけが納税を個人の判断でできるともとれ、特別扱いだとして、交流サイト(SNS)で「納税は個人の自由だったのか」などと批判が広がった。 26日の予算委では、立憲民主党の城井崇氏は裏金事件の中で始まった確定申告を巡り、SNS
石川県で最大震度7を観測した能登半島地震で、人命救助などのために派遣されている自衛隊員は、5日時点で約5000人となった。政府は、地理的条件や近隣の部隊配置などに違いがあり、単純比較できないとするが、2016年に震度7を記録した熊本地震の5分の1にとどまる。野党からは、政府の初動対応の遅れを批判する声も出ている。 防衛省は地震発生翌日の2日、陸海空自衛隊の指揮系統を一元化した統合任務部隊を1万人規模で編成した。ただ実際に現地で活動するのは2日の段階で約1000人、3日は約2000人、5日も約5000人にとどまっている。発災から5日目で約2万4000人が活動していた熊本地震と比べて規模が小さく見える。 立憲民主党の泉健太代表は5日、記者団に「自衛隊が逐次投入になっており、あまりに遅く小規模だ」と批判。別の立民幹部も「物資が届かず、被害の全容が明らかにならないのは、自衛隊員が足りない影響だ」と
「地上の楽園」だまされた… 「北朝鮮帰還事業」韓国が異例の調査に着手 日本から9万3000人渡航、被害解明へ 【ソウル=木下大資】1959~84年に多くの在日朝鮮人らが北朝鮮に渡った「帰還事業」に対し、韓国政府の調査機関「真実・和解のための過去事整理委員会」が調査を行うと決定したことが分かった。関連資料の収集や脱北者への聞き取りなどを通じ、北朝鮮が「地上の楽園」とする虚偽の宣伝によって事業が進められた経緯や被害の把握を目指すとみられる。 真実・和解のための過去事整理委員会は、韓国政府が設置した独立機関。軍事政権による過去の人権弾圧事件などを調査し、真相究明や被害者の名誉回復を行っている。韓国は憲法上、北朝鮮も自国の領土と位置付けるものの、日朝間で行われた帰還事業を調査対象にするのは異例だ。尹錫悦(ユンソンニョル)政権が北朝鮮の人権問題を国際社会に提起する姿勢を打ち出す中、韓国として初の公式
松野博一官房長官は1日の記者会見で、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について「昨日の記者会見での私の発言は、従前から国会答弁や質問主意書に対してお答えしてきたことを述べたもの」と発言。「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」とした8月31日の見解を崩さなかった。
原発の60年超運転を可能にする束ね法「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が31日、参院本会議で与党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。老朽原発の長期運転や原発産業への支援強化などが盛り込まれ、東京電力福島第一原発事故後に抑制的だった原子力政策の大転換となる。 福島事故後に導入された「原則40年、最長60年」とする運転期間の規定は、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法から削除。経済産業省が所管する電気事業法に改めて規定された。最長60年の枠組みは維持しつつ、再稼働に向けた審査などによる停止期間を運転年数の算定から除外。その分だけ60年を超えた運転が可能になる。 これまでは規制委が運転延長の可否を審査し認可していたが、今後は経産省が電力の安定供給に貢献するかなどの観点から審査し、認可する。具体的な審査基準は今後策定する。規制委は延長の可否の判断には
7月に行われた安倍晋三元首相の葬儀に陸上自衛隊の儀仗(ぎじょう)隊が参列したのは、戦後の首相経験者の家族葬では初めてだった。防衛省が本紙の取材に明らかにした。防衛省・自衛隊の弔意表明の一環として、安倍氏の遺族の意向を確認し、防衛相の指示で行ったと説明している。当時の防衛相は安倍氏の実弟の岸信夫氏だった。 政府がかかわった首相経験者の公的な葬儀は、1967年の吉田茂氏の国葬以降、2020年の中曽根康弘氏の内閣・自民党合同葬まで11回ある。すべて儀仗隊が参列した。安倍氏の家族葬のように、政府が関与しない首相経験者の私的な葬儀は個別に行われてきたが、儀仗隊参列は「確認できる範囲において、安倍氏以外はない」(同省陸上幕僚監部)という。 一方、防衛省の前身の防衛庁長官経験者を対象にした家族葬への参列は3例あったという。同省は「元防衛庁長官等の家族葬で、遺族の意向を踏まえ儀仗を実施した」と説明し
島津製作所(京都市)が製造した医療用エックス線装置を巡り、保守と販売を担う子会社の島津メディカルシステムズ(大阪市)熊本営業所の幹部社員が、熊本県内の公立病院に納入した装置に回路を遮断するタイマーを仕掛け、故障を装って部品を交換していたことが本紙の取材で分かった。病院は交換修理費として200万円超を支払った。島津製作所は社内調査していることを認め、自社のホームページに「事実関係が明らかになり次第、しかるべき対応を行う」とのコメントを出した。 両社の関係者は25日、この病院を訪れて謝罪し、概要を説明した。営業所を所管する熊本県は、メディカル社などから聞き取りをする考えを示した。病院を運営する自治体は、代金の返還を求めることも視野に検討するとした。 部品を交換していた装置は、エックス線で体内を撮影しながら映像を見られる「エックス線テレビシステム」で、この病院には2009年に設置された。関係者に
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