高齢者の増加とともに、今後さらに増える見込みの認知症。根本的に治す薬を世界が渇望し、研究者や製薬会社が競争を繰り広げるが、開発中止が相次ぐ。世界初の根本治療薬はいつ登場するのか、注目が集まっている。 「認知機能の指標で悪化が確認された」。7月、ノバルティス社などは、3段階ある臨床試験(治験)の最終段階、第3相試験に入っていたアルツハイマー病治療薬候補「CNP520」の治験中止を発表した。3月には、バイオジェンとエーザイが、治療薬候補「アデュカヌマブ」の治験を中止すると発表したばかり。ある研究者は「固唾(かたず)をのんで結果を待っていたが、失敗が相次ぎ、製薬業界の元気がなくなっている」と話す。 米国研究製薬工業協会(PhRMA)の報告書によると、2017年までの20年間で146の薬剤候補が開発中止に。このうち、根治をめざすものは約4割で、50件を超すことになる。また、約2割は第3相試験に進ん