ハンガリーの家族政策がジェンダーや性的マイノリティの平等を置き去りにしてきた側面も否めないが――[修道院付属の小学校の生徒のために行われる教育授業=2021年9月1日、ハンガリー・ホドメゾヴァザルヘイ](C)AFP=時事 2010年に世界最低レベルだったハンガリーの出生率は、オルバーン政権下で一定の改善を見せてきた。「子供を4人産むと母親の所得税が免除」など、日本でも注目される施策の効果を検証すれば、必ずしも意図した形で結果が出ているとは言い切れない。また家族のあり方を政府が条件付けることの是非も軽視はできない問題だ。しかし、「政治的意思(予算)」「組み合わせ」「継続性」という観点では、日本に多くの示唆を与えている。 「静かなる有事」――少子化や人口減少は、治安や防衛、企業活動といった各種社会機能、そして国力の維持にも大きな影響を与えることから、このように呼ばれている。日本において、少子化