島の基地、中国の標的の可能性 この数十年、キンジョー・テツヒロの一番の心配事は、マンゴーの木を台風や害虫から守ることだった。 日本政府が石垣島の自宅近くにミサイル発射台の配備を決定するまでは。石垣島は台湾からわずか約320キロメートルの距離にある小さな亜熱帯の島なのだ。 この1年、中国が台湾周辺で公然と軍事力を行使したことで、日本は自国の“裏庭”で超大国の紛争に巻き込まれる可能性への懸念を強めてきた。
がんばって目標を達成したのに、あとから考えてみたら、そんな目標など本当はどうでもよかったと気づいた経験はあるだろうか。多大な犠牲を払い、ときには他人を踏みにじったりしてようやく辿り着いた場所が、全然いたくもない場所だったことはあるだろうか。 そんな話に多少とも身に覚えがあるなら、ここで中国共産党のことを少し考えてあげてほしい。 中国共産党が中国国民に対して「計画生育(一人っ子政策)」を強制したのは1979年のことだ。それは苛烈だった。避妊手術や中絶手術が強要され、許可なく複数の子供を持った親には重い罰金が科された。 地域によっては、家族計画担当官という名の事実上の秘密警察が、産児制限に従わない人を懲らしめるため、家を破壊したり、制限超過分の子供を連れ去ったりした。 中国政府の狼狽ぶりを示す出来事 ところが、そのすべては徒労だった。中国政府が反出生の恐怖政治を敷いても敷かなくても、長期の人口
──現地でこの民俗宗教を研究されたそうですが、その祭祀や神々について何を学べましたか。 私は1985年に観光ビザで中国に入り、各地の農村に足を運び、道士たちから話を聞き取りました。 1992年に中国人と共同で研究チームを作り、中国南東部の三省の農村部の宗教的実践を調査しました。地方の政府にお願いして年配の方々を集めてもらい、彼らから話を聞いたり、彼らが知っていることを書いてもらったりしました。 15年に及ぶこの調査は、地元の在野研究者によって全30巻の労作として結実しました。もうひとつのプロジェクトでも、中国の中南部を調査し、それもまた全6巻にまとめられました。 合計すると、調査した村の数は数千に達します。民俗宗教の祭祀を調べ、それがどのように社会を構造化しているのかを突き止めようとしたわけです。 道士と巫者が同時進行で儀式? 中国で研究してまずわかったのは、宗教がつねにその地域のものだと
表現の自由は当然のものではなく、キリスト教の教義を絶対とする封建的な中世から、民主的な議論を求める欧州の先人たちが戦って得てきたものだ。しかし、人種差別や不平等に関心の強い現代の「リベラル」は議論を封じ、「正当」な意見しか認めない傾向があるという。 そんな非寛容な現代の「リベラル」を、英誌「エコノミスト」が、宗教が国家を支配した時代の行いと比較分析する。 近代を形作った「リベラリズムの功績」 リベラリズムは、ヨーロッパを1000年以上支配した「宗教国家」に対する抵抗の中で形作られた。中世ヨーロッパでは、ローマ・カトリック教会が社会を支配し、黒い服を着た聖職者の超国家的組織(騎士修道会)があらゆる事柄について服従を要求した。精神的にも道徳的にも人々を支配し、教育も牛耳った。 16世紀の宗教改革はキリスト教諸派の間に競争をもたらしたが、それによって宗教と国家の癒着は助長された。フランス出身の神
日本の終戦記念日は8月15日だが、アメリカでは日本が降伏文書に署名した9月2日を「戦勝記念日」としている。そのアメリカに住んでいると、日米開戦の引き金となった真珠湾攻撃について尋ねられることがある。ニューヨーク在住で日米中の歴史に詳しい作家の譚璐美氏は、つい先日もそんな質問を受けて……。 留学前に日本の歴史を学ぼう コロナ下の東京オリンピックが終わり、間もなく終戦記念日がやってくる。日本では8月15日、ラジオで昭和天皇が玉音放送を行い、「ポツダム宣言」を受諾したことを国民に告げた日を終戦記念日としている。これに対してアメリカでは、9月2日、東京湾に停泊した米戦艦ミズーリ号の甲板で、日本が連合国軍に対して降伏文書に署名した日を「戦勝記念日」としている。 私が長年アメリカに住んでいるせいか、日本の大学生からしばしば、「アメリカへ留学したいのですが、どんな準備をしたらよいですか?」と聞かれること
ISS(国際宇宙ステーション)に滞在中のNASAの宇宙飛行士が5月中旬、スペインに向けた心温まるメッセージをツイートした。しかし、予想だにしなかった方面から“炎上”を引き起こしてしまった、とスペインの複数メディアが報じている。 名物料理取り違え「大罪」 現在、日本の星出彰彦とともにISSに長期滞在しているシェーン・キンブローはスペイン語も交えて「オラ! エスパーニャ!(こんにちは! スペイン!) 先日、サラマンカ上空を通過しましたが、トルメス川が目に飛び込んできました」と、宇宙から撮影した写真を添えてツイッターに投稿した。 だが、そのツイートの2文目が問題となった。 「宇宙食でパエリアが食べられればいいのに……」 Hola España! We flew by Salamanca recently and the Tormes River was in plain sight. Wish
このユダヤ教正統派とキリスト教福音派の同盟関係は、ある意味では筋が通っている。 というのも、福音派右派の多くは、イスラエル右派の頼れる支持者であり、福音派のクリスチャン政治家たち以上に熱烈なシオニストはいないからだ。 だが、この同盟はいまや、イスラエルをはるかに超えたものになっている。 たとえば、宗教/政治団体「ホヴェヴェイ・ツィヨン」が作った動画を見てみよう。この団体は「若きイスラエル」という現代正統派の団体と(最近まで)つながりがあった。 ユダヤとサマリアへの言及に始まり、ヨルダン川西岸のユダヤ人居留地を守るという目標を提示するが、話が急に変わり、すべての西洋文明の基礎はユダヤ人にありと豪語する。 「ロンドン、ローマ、アテネ、どれも始まりはエルサレムにあります」 古代ユダヤ人が後世に残した価値とは何か? 「ナショナリズムはひとつの理想。資本主義は善。財産権は履行され守られるべき。すべて
中国の習近平政権が台湾をますます威嚇し、緊張関係が高まっている。実際に中国が台湾に侵攻すれば、米中戦争にいたる可能性もある。台湾に最も近い米軍基地は沖縄に集中しており、日本も必然的に巻き込まれることになる。その最悪のシナリオを、米経済メディア「ブルームバーグ」台湾支局長が徹底シミュレーシュンする。 習近平率いる中国共産党は70年以上にわたり、台湾を侵攻すると脅してきた。いまアナリストや当局や投資家のあいだでは、数年のうちに中国の台湾侵攻が現実となり、それが米中戦争につながる可能性があるとの懸念が高まっている。 2020年9月には、中国人民解放軍の航空機が台湾海峡の中間線を繰り返し突破し、数十年にわたり平和を維持してきた事実上の緩衝地帯が消滅した。 党機関紙「環球時報」は今後の展望を示し、中国空軍に台湾上空をパトロールさせ、台湾が発砲した場合には「軍事的手段で統一を達成する」よう促している。
北方領土問題をめぐり対立を深める日本とロシアだが、ソフトパワーでは日本の圧勝だ──。ロシアのティーンエイジャーに熱狂的に支持される日本アニメを軸に、ロシアの若手作家が独自の視点で日ロ関係を論じる。 著者のエレーナ・オジノコワは、ウプイリ・リホイ(不吉な吸血鬼)のペンネームで小説を執筆しており、2018年に発表した風刺小説『スラブのオタク』(未邦訳)がロシアの文学賞「ナショナルベストセラー2019」にノミネートされている。 大手紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」に掲載された彼女のエッセイを紹介しよう。 アメリカより日本がイケてる かつてナポレオン率いるフランスの大軍がロシア帝国に攻め入ってきたとき、ロシアの貴族は全員フランス語を話していた。それどころか、当時はファッション、文学、料理や慣習まで、すべてフランス流がまかりとおっていた。つまり、フランス文化はナポレオンよりずっと先に、ロシアを征服し
2018年8月に在日コリアン5人が北朝鮮政府に損害賠償を求める訴訟を起こした。「楽園が待っている」と嘘をつかれ、戦後の帰国事業で北朝鮮へ戻り、極貧と強制労働に苦しんだ人たちだ。日本政府は北朝鮮の現実を知りながら、帰国を促したとされる。 米紙「ワシントン・ポスト」が取材した。 北朝鮮の人間が自宅にやってきて、「地上の楽園」という祖国への帰国を父に勧めたとき、榊原洋子(68)はまだ幼かった。 1960年代初めのことだ。「社会主義の理想郷」が待っていると、彼らは言った。仕事、住居、衣服、医療、必要なものはすべて国が保障すると。 「小さかった私は会話には入れませんでしたが、話は聞こえました」と、榊原は振り返る。「私は父に言ったんです。行こうよ、行こうよって」 冷戦さなかの1959〜1984年、祖国での新しい生活が約束されているという言葉を信じて9万3000人以上の人々が日本から北朝鮮に渡った。ほと
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